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スペインも見習う、誇るべき日本のサッカー文化。
~ザック、アギーレも認めた安全性~ 

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豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byGetty Images

posted2014/12/16 10:00

スペインも見習う、誇るべき日本のサッカー文化。~ザック、アギーレも認めた安全性~<Number Web> photograph by Getty Images

A・マドリーのセレソ会長は「サッカーの試合は家族が楽しむためのものだ」とコメント。

「英国や日本のスタジアムを見習え!」スペインでは最近、そんな声が聞かれる。発端は11月末のA・マドリー対デポルティーボ戦で死傷者が出たことだ。この事件ではデポルの過激派ウルトラスのメンバーだったフランシスコ・ロメロ氏が頭部に損傷を負い死亡。サッカー協会やリーグ連盟、各クラブはスタジアムの安全のための規制作りに動いている。

 英国を模範にするべきと叫んだのは、こちらもスタジアムの暴力問題に悩むイタリア出身のアンチェロッティ監督だ。伊、英、仏と欧州各国での指揮経験を持つ彼は事件後に「英国には暴力はなく、スタジアムには子どももいる。我々ラテン人が見習うべき文化だ」と率先して主張し、貴重な意見として受け入れられた。

 英国では96人の死者を生んだ'89年のヒルズボロの悲劇以降、安全面は劇的に改善している。リーグ、クラブ、警察の3者間の連携がスムースになり、危険な試合では事前にアルコールを飲ませないため、早い時間に試合を設定するなどの策がとられるようになった。今では英国人サポーターが問題を生むのは、アウェー遠征で国外に出たとき位だ。

浦和の無観客試合が報じられた際の“ある驚き”。

 日本から学べとされているのは、サポーターのマナーと違反に対する厳格さだ。

 今年3月に浦和レッズのサポーターが「JAPANESE ONLY」という横断幕を掲げ、無観客試合となった一件は欧州でも報じられたが、人々の反応は「それくらいで無観客試合になるのか」という驚きだった。人種差別や暴力が珍しくない欧州では、横断幕ひとつで無観客試合にしていたら、運営が成り立たないのである。ブラジルW杯でのサポーターのゴミ拾いも賞賛されるなど、印象は非常にいい。

 歴代の日本代表監督の言葉もそれに拍車をかけた。スペインで長く指揮をとったアギーレ監督は日本代表監督に就任後、スペインメディアのインタビューに日本の第一印象を「ファンが礼儀正しく、スタジアムも安全なこと」と語っている。前監督のザッケローニも退任後に日本の良さを度々、母国メディアに語っており、彼らの言葉は欧州での日本サッカーのイメージアップに繋がっている。

 日本では「欧州サッカーに学べ」という声を頻繁に聞く。学ぶことがあるのは確かだが、独自のサッカー文化に誇るべきものがあることも忘れるべきではない。

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