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不評を覆し良馬続出のハービンジャー産駒。
~キングジョージ優勝馬の血脈~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/08/30 10:30

8月の新馬戦で1番人気に応えたフローレスダンサー。母ダンスインザムードはGI2勝。

8月の新馬戦で1番人気に応えたフローレスダンサー。母ダンスインザムードはGI2勝。

 種牡馬の実質的なデビューは、例外なく初供用から3年後。初産駒が競走年齢に達するまでの短くない期間で、評価は乱高下するのが常だ。不世出の種牡馬の名をほしいままにしたサンデーサイレンス('02年没)でさえ、生まれてきた子供の多くが一見力強さが足りない後駆の形(専門用語で、飛節の折りが深すぎる、と言われた)をしていたことを突っ込まれ、不評を招いたものだ。

 ハービンジャー(牡8歳、英国産、9戦6勝、父ダンシリ、母の父ベーリング)は、'10年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英国アスコット競馬場、芝12ハロン、GI)をレコードで圧勝。しかもアイルランドダービー馬のケープブランコ、英国ダービー馬のワークフォースらに11馬身という、同レース史上最大の着差をつけた名馬で、レーティングは史上5位の135ポンド。フランケル、シーザスターズと並ぶ、近年の欧州トップスターだった。これほどの馬が初供用から日本に来たのは、キングジョージのあと左前脚の管骨を折る重傷を負ったことと、2400mより短い距離での実績がなかったこと。欧州の生産界でも「重たそう」と思われた馬が、日本の軽い馬場に適性が見込めるかどうかについては、当然のこととして賛否両論があった。

JRAでの19頭中4頭が新馬勝ちを飾る好スタート。

 生まれてきた当歳産駒の評判は最高だった。その姿に重たさは感じられず、どの子も品がよく、いかにも走りそうに見えたのだ。しかし、その子たちが1歳を迎えると「成長がイマイチ。トモ(後駆)も緩そう」という評判が立つ。今年は新種牡馬のオルフェーヴル、ロードカナロアや、成長力を認められてブレークしたハーツクライなどに人気を奪われた。

 そこへ孝行息子、孝行娘が続々と出現して、種牡馬ハービンジャーの評価が再び高まってきた。6月から始まった2歳戦に出走した産駒は、JRAで19頭(8月10日終了時点)と多くないが、そのうち4頭が新馬勝ちという好スタートだ。

 フローレスダンサー(牝、母ダンスインザムード、栗東・松田博資厩舎)は、札幌の芝1800mで、いかにも良血馬らしい息の長い末脚を繰り出した。センスの光るカービングパス(牝、美浦・藤澤和雄厩舎)とともに、札幌2歳S(9月6日、芝1800m、G3)の有力候補に名乗りを上げたのだから頼もしい。

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