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福西崇史が総括するザックジャパン。
「勝つために何が足りなかったのか」

posted2014/07/01 16:30

 
福西崇史が総括するザックジャパン。「勝つために何が足りなかったのか」<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

「福西崇史の『考えるサッカー』」、配信は毎週月曜日の予定です。

text by

福西崇史

福西崇史Takashi Fukunishi

PROFILE

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Sports Graphic Number

メルマガNumber「福西崇史の『考えるサッカー』」、
最新号が配信されました。6月30日配信号の内容を一部ご紹介します。

<目次>

【1】《ブラジルW杯》 日本代表総括
     ~ 何が足りなかったのか(1) ~

【2】《ブラジルW杯》 日本代表総括
     ~ 何が足りなかったのか(2) ~

【3】《ブラジルW杯》 日本代表総括
     ~ メンバーが誰であれ ~

【4】《ブラジルW杯》 日本代表総括
     ~ 90分の戦い方 ~

【5】《ブラジルW杯》 日本代表総括
     ~ W杯のベスト8が世界の8強じゃない ~

【6】《井戸端後記》雑談と反省と次号予告を兼ねた編集後記(1)
     ~ それ、言わないでください ~

【7】《井戸端後記》雑談と反省と次号予告を兼ねた編集後記(2)
     ~ まだまだ続くよ、W杯 ~


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【1】《ブラジルW杯》 日本代表総括
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     ~ 何が足りなかったのか(1) ~
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―――まず全体の話なんですが、3試合を通じて、日本のサッカーが通用する部分と、まだまだ改善しなければならないところが浮き彫りになったと思いました。

福西:難しいところだね。一対一の局面、つまり個の能力という部分で言えば、以前に比べて通用する部分が増えてきている。

―――はい。そうですね。日本は個の能力では世界に勝てないという前提で見てしまいがちですけど、一昔前に比べたらかなりまともにやり合えるようになった気がします。もちろん、単純な「一対一」に持ち込まれないような工夫をしていることもありますけど。

福西:そうそう。日本は個の能力がまだ足りないから、組織の力を上げなきゃいけないと考えてきて、それを「一対一」の局面でも活かせるようになってきた。もちろん、世界のトップレベルと比較すれば、個の能力はまだまだ。それは「決定力」にも表れていると思う。

―――はい。ただ、日本人からドログバやメッシを誕生させるのは今のところ非現実的と言えるから、これも単純な「一対一」で勝つ能力じゃなく、今のまあ、「いかに複数の連係で攻略するか」を極めたほうがいいんでしょうね。

福西:うん。あとはやっぱり、試合の“戦い方”だよね。駆け引き。

―――そうですよね。それは福西さんがずっと言っていることでもあります。

福西:日本は個の能力で足りない部分を、組織の力で補う努力を続けてきた。方向性としては間違いないと思うし、メキシコやチリのように、同じスタイルで結果を残しているチームがお手本になる。じゃあ、彼らと比べて何が足りないかというと、90分をどう戦うか、どうマネジメントするかという駆け引きの部分だと思う。

―――はい。僕もそれを痛感しました。“戦い方”つまり個の能力でも組織力でもなく、3試合をどう戦って、勝ち点をどう積み上げるかという戦略が未熟で、結局、行き当たりばったりになってしまった。

福西:うん。日本人の個の能力は間違いなく上がってきた。それを活かすための組織の力もある。でも、その力の“発揮の仕方”についてはまだまだだった。それができなければ、磨きあげた個の力も組織力も発揮されない。そこがまだ、世界と比べて劣るところだね。

―――はい。特に個の力については、正直、諦めることも必要だなと思ったんですよ。

福西:おお、諦める?

―――はい。例えばコロンビアのハメス・ロドリゲスのような選手を“極上の個”とすると、タイプ的には、今の日本でああいうタイプの選手を育てるのはムリだなと思いました。

福西:なるほどね。

―――はい。ただ、逆に、ああいう選手を育てようとする必要もないなと。日本人には日本人の個性があって、ハメス・ロドリゲスとは違う能力で世界に通用する部分がある。選手たちはコロンビアに負けて「全く通用しなかった」みたいなことを言っていましたけど、僕は全然、そう思わない。

福西:そういう考え方もありだと思うよ。確かに、ハメス・ロドリゲスのような選手を育てようとしたら、めちゃくちゃ時間がかかる。育成の方針を変えなきゃいけない。

この続きは、メルマガNumber「福西崇史の『考えるサッカー』」でぜひお読みください。
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