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オシムが見たザックジャパンの3戦。
「変えねばならないのはエスプリだ」 

text by

イビチャ・オシム

イビチャ・オシムIvica Osim

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photograph bySports Graphic Number

posted2014/07/01 16:30

オシムが見たザックジャパンの3戦。「変えねばならないのはエスプリだ」<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

「イビチャ・オシムの『オシム問答』」、配信は隔週金曜日の予定です。

メルマガNumber「イビチャ・オシムの『オシム問答』」
最新号が配信されました。6月30日配信号の内容を一部ご紹介します。

▼Lesson.83 目次

 【1】 〈今週の「オシム問答」〉
        「何が失敗だったのか、考えていく。とてもシンプルだ」

 【2】 〈オシムとの対話 Chapter.1〉
        「変えねばならないのは選手、サポーター、メディアのエスプリだ」

 【3】 〈オシムとの対話 Chapter.2〉
        「日本はとりわけ個々の経験が不足している」

 【4】 〈オシムの教え〉
        「今日のサッカーの理念は、ボールキープして得点機を作ることだ」

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  【3】 〈オシムとの対話 Chapter.2〉
        「日本はとりわけ個々の経験が不足している」

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オシム:問題は誰もがメッシやロナウドを模倣しようとすることだ。どのチームにも、彼らのようにプレーしようとする個人主義者がいる。ひとりだけでプレーする選手だ。ひとりで相手チームの全員を相手にするが、それがいいはずがない。意味もなく疲れるだけだ。しかしロナウドとメッシは“彼ら”だからそうなる。誰もが試合に勝つために、自分がロナウドやメッシになることを夢見る。しかも疲れることなく。しかしそんなことは不可能だ。それではサッカーとは言えない。

――しかしロナウドも疲れています。

オシム:彼らのような選手はそうはいない。それぞれのチームには、ひとりかふたりの個として優れた選手がいる。だが、ふたりほどの力はない。求められるすべての要求に応えられるわけではない。それに守備も進歩して、容易に止められるようになった。

 そうでないのは日本だけだ(笑)。日本のゴールキーパーはまるで塑像のようだ。ディフェンダーにもスピードがない。当たりにも強くない。とても残念なことだ。というのも日本は他の2カ国よりも優れていたのにグループリーグで敗退してしまった。

 コートジボワールには以前の強さはなかった。ドログバはピークを過ぎ、過去の彼とは異なり疲れていた。それでも彼がプレーするのは政治の力なのかどうか。しかし彼が100%ではないコートジボワールは死んだも同然だ。見ただろう。彼はチームのプレーには加わろうとしない。前線でひとり待っているだけだ。他の選手も彼のサポートにまでは至らない。だからこそ、日本にとっては本当に残念だった。日本は下降曲線に入った彼らに勝ついいチャンスだった。コートジボワールは落日のチームだ。

――しかし日本の結果は……。

オシム:日本は上昇中のチームだ。日本には上昇の勢いがある。たしかに経験はまだ足りず、とりわけ個々の経験が不足している。そこに問題がある。日本はチームとしてはとても進歩した。優れた質のプレーも実践している。良く走り、全員が献身的にプレーする。コンビネーションもいい。だが、まだ経験が足りない。そこはもう少し時間が必要なのだろう。

 ボスニアと同じで、自分たちが有利な状況になるとプレーができなくなる。優勢な試合、机上では有利な試合で、どうやって勝てばいいのかわからない。すでに勝った気になってしまっている。残念だがそういうことで、他の2カ国は日本と比べて優れているわけではまったくなかった。コートジボワールにしても、何人かの選手は素晴らしかったがチームとしてはそうでもなかった。優れたチームであれば、個の力ではなくチームで勝利を得る。コートジボワールはそうではなかった。もうひとつはどこだったか?

ギリシャ戦の日本は、本当にまずかった。

――ギリシャです。

オシム:ああ、ギリシャだ。とりわけギリシャだ。年老いたチームで、選手は走れなかった。日本が勝てるはずのチームだった。日本は走りさえすれば彼らに勝っていた。ギリシャはみなベテランで、すでに疲れていたから日本のスプリントについていけなかっただろう。しかし日本が走ったのは最終戦だけだった。ギリシャ戦の日本は本当にまずかった。

――われわれもまた疲れていましたから(笑)。

オシム:日本は相手に対して、本来やるべき戦い方ができなかった。とりわけギリシャに対してそうだった。ギリシャは後方に退いて日本の攻撃を待っていた。日本が普段のスピードと総力を発揮してコンビネーションで崩せば、ギリシャの守備は対応できなかっただろう。だが彼らの術中に嵌った。そうなったときのギリシャは、前線にそれなりの選手を揃えていて危険だ。少人数のカウンターで得点をあげることができる。

 そして最終戦は、確かに良く動いたがコンビネーションは足りなかった。相手との力関係を考えれば結果は順当だ。だからこそ、その前の2試合が残念だった。どちらも日本に勝機が十分にあった。グループリーグ通過の絶好のチャンスだった。ギリシャが通過するとは、誰も思っていなかっただろう。ヨーロッパでも大きな驚きだった。

 繰り返しになるが日本がリズムに溢れた攻撃をしていれば、ギリシャはついていけなかった。彼らに寄せるだけの余裕を与えず、彼らを走らせてボールの後を追いかけさせていただろう。日本にそれができる力があっただけに本当に残念だ。能力的にはまったく問題がなかった。

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この続きは、メルマガNumber「イビチャ・オシムの『オシム問答』」
ぜひお読みください。


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