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好調オリックスを束ねる執念の森脇采配。
~因縁のソフトバンクを倒すため~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/06/05 10:00

「短期決戦が一番得意」という森脇監督。両リーグ通じての30勝一番乗りは、阪急時代以来。

「短期決戦が一番得意」という森脇監督。両リーグ通じての30勝一番乗りは、阪急時代以来。

 交流戦に入っても、セの首位を走る広島の二枚看板、前田健太と大瀬良大地に連日土をつけるなど、オリックスが堂々たる戦いぶりを見せている。リーグ最多得点を誇る打線を糸井嘉男、ペーニャが牽引し、投手陣はエースの金子千尋、5月を終えて8勝1敗の西勇輝が磐石で、投打の軸が確立されている。

 投手陣に関しては、以前から「良い」と評判だった。楽天の佐藤義則監督代行などは「あの陣容で、なぜ勝てないのか」と不思議がっていたほどだ。中継ぎ、抑えがしっかりしているだけに、先発が6回までゲームを作れている今季は、相応の実力を発揮できていると言える。

 森脇浩司監督の采配も際立っている。両リーグを通じて30勝一番乗りを果たした5月24日の広島戦では、相手の失策を見逃さず大量点を奪う一方で、好投していたマエストリが6回に初安打を浴びるとすぐに交代を告げるなど、相手につけ入る隙を与えなかった。

 他にも新人の吉田一将を勝利目前で降板させたり、実績のある野手の坂口智隆と鉄平を競わせたりと厳しさを見せてきたが、それがチームの士気を高めている。

「組織の活性化」を理由にクビを宣告された雪辱を。

「今年は自分の思っている野球の半分はできそうです。李大浩やバルディリスのような“各駅停車”がいなくなった分、逆に思い切って走りの野球ができる」

 シーズン前、そう言って美味しそうにコーヒーを飲んでいたのが印象的だった。

 森脇監督は現在首位争いを繰り広げているソフトバンクと、浅からぬ因縁がある。ソフトバンク時代、王貞治監督の下で参謀として仕え、監督が病気休養した折に代行を務めた。その後はコーチを歴任していたが、'09年、秋山幸二監督の1年目のオフに「組織の活性化」を理由に突然クビを宣告されたのだ。

 岡田彰布監督の解任を受け、オリックスの監督代行に就任したのはそれから3年後、'12年のシーズン最終盤だった。残り9試合を7勝2敗で締めくくったが、その間、2試合続けてスクイズで逆転勝ちを収めたことがあった。それを見た宮内義彦オーナーが、「彼の執念は使える」と正式な監督就任を要請したという。

 オリックスは今年で本社創立50周年を迎え、宮内オーナーは近く退任と聞く。そのはなむけの優勝となれば、神戸の街は'96年以来の盛り上がりを見せるはずだ。

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