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新たな時代に突入した、
日本人とメジャーの関係。
~藪恵壹の日本球界復帰の意味~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/01/22 08:00

新たな時代に突入した、日本人とメジャーの関係。~藪恵壹の日本球界復帰の意味~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

7年ぶりに縦じまのユニフォームを着る藪。42歳まで現役を続け、日米通算91勝をあげた

 1995年に野茂英雄がメジャーリーグの扉を開けて以来、15年以上が経った。その間、多くの選手が太平洋を渡り、米国野球は身近な存在となった。今オフは、西岡剛がポスティング制度を利用してツインズに入団。小林宏之も米挑戦を表明するなど(その後、メジャー移籍は断念し、阪神入りを表明)、日本人のメジャー移籍は夢ではなく、確かな目標へと変わってきた。その一方で、昨年の田口壮、城島健司、大家友和らに続き、松井稼頭央、岩村明憲が日本球界へ復帰するなど、米国から日本に逆輸入する、新たなベクトルも生まれ始めた。

 野茂の移籍以降、伊良部、佐々木、イチローらスター選手が次々にメジャーへ移籍した際、日本球界は人材流出に歯止めを掛けられず、「存亡の危機」が声高に叫ばれ、ある種のパニック状態に陥った。確かに、観客動員への影響やファン離れを心配するのも当然だった。ただ、その当時、十数年後に選手や指導者を逆輸入する時代が来ることに、どれだけの球界関係者が目を向けていただろうか。

巨人戦の視聴率が低調でも、決して悲観材料ばかりではない!

 今季からは、かつてアスレチックスなどでプレーした藪恵壹が、古巣阪神の二軍投手コーチに就任した。日本ハム吉井コーチに続く元メジャーリーガーの指導者として、日本球界へ恩返しする思いは熱い。

「もちろん、すぐにローテーションを中4日にしたり、すべてメジャーのやり方を持ち込むつもりはありません。ただ、米国のいいものを自然に伝えていければいいと思います」

 この十数年間で、日本とメジャーの関係は着実に変わった。オフに親善試合として行なわれていた日米野球も、一定の役目を終えたとして打ち切られた。一方的に憧れ、単純に「追いつき、追い越せ」とばかりに、パワーを信奉した時代とは明らかに違う。

 今後は、海を渡った選手が再び日本へ戻り、日本と米国双方の優れた部分を融合して伝えることによってレベルの向上につながる可能性は高い。将来的には、現場だけでなく、フロント陣にも双方向のベクトルが広がれば、球界のシステム改革にも影響を与えるに違いない。

 野茂が「開国」の先陣を切り、今や日米交流は新時代に入った。巨人戦のテレビ視聴率が低調でも、球界全体としては決して悲観材料ばかりではない。

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