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<ベストFW・独占インタビュー> ズラタン・イブラヒモビッチ 「地球の反対側のジャパニーズへ」
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byTomoki Momozono
posted2014/04/17 11:50
日本人選手が選ぶ現代最高のストライカー。
普段はインタビューを受けない男が自身のキャリア、
現代のフォワード論、そして日本について語り尽くす。
普段はインタビューを受けない男が自身のキャリア、
現代のフォワード論、そして日本について語り尽くす。
パリから連絡が入ったのは、3月の終わりのある午後のことだった。
パリ・サンジェルマンの広報部は、少し驚いたようなトーンでこう伝えてきた。
「イブラが話をしてくれるそうだ! すぐにパリに来てくれ」
一枚のリストを鞄に忍ばせて、空港へ向かった。その紙には、世界中のストライカーたちの名前が書かれてある。一番上にあるのが、ズラタン・イブラヒモビッチの名前だ。
Jリーガーら100人が選ぶ2013-2014シーズンのベストフォワードという本誌企画で、イブラヒモビッチが選ばれた。リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウド、ルイス・スアレスら各国の点取り屋を抑え、日本の選手たちはイブラヒモビッチを最高のフォワードと定義づけたのである。
いま、日本で最も評価されるストライカーに聞いてみたかった。
フォワードというポジションについて。ゴールについて。そして彼につきまとう、エゴイストというイメージについて――。
パリ郊外はサンジェルマン・アン・レーにあるPSGの練習場、案内された小さな部屋で待っていると、ドアの奥から197センチの巨体がぬっと現れた。
その肩に宿る独特の威圧感が、肉体的な大きさを助長している。これまでにピッチで対峙したディフェンダーたちは、あらゆる意味でその巨大さを実感してきたに違いない。