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“世界が遠い”女子パシュート4位。
スピードスケート復活に何が必要か? 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byShinya Mano/JMPA

posted2014/02/23 12:00

“世界が遠い”女子パシュート4位。スピードスケート復活に何が必要か?<Number Web> photograph by Shinya Mano/JMPA

2006年のトリノ五輪以来となるメダル獲得無しに終わった日本のスピードスケート陣。レース後、田畑真紀は「オランダとものすごい差がある。深刻に考えないと」とコメントした。

 完敗だった。

 2月22日に行なわれたスピードスケート・チームパシュート。日本女子は3位決定戦で敗れて4位となり、バンクーバー五輪での銀に続くメダル獲得はならなかった。

 前日、1回戦で韓国を破った日本は、この日の準決勝でまずオランダと対戦した。今シーズンのワールドカップでは全勝と圧倒的な優勝候補だ。このレースで、日本は現実を見据えた選択を行なう。バンクーバー五輪を経験している田畑真紀を控えに回したのだ。

 勝てば決勝、負ければ3位決定戦と勝敗に関わらず、もう1レースが控えている。ましてや、今大会で多くのメダルを獲得しているオランダに勝てるチャンスはごくわずか。であれば、39歳の田畑を温存して、3位決定戦に備えておきたいという意図だった。

 その結果、日本はオランダに敗れ、ロシアとの3位決定戦にまわった。

 ロシア戦では田畑、高木菜那、押切美沙紀のメンバーでスタートした日本が先行する。1周目に0秒38のリードを奪うと、2周目は0秒43、3周目は0秒41とリードを保つ。

 だが4周目に逆転を許すと、あとは引き離されるばかりだった。終わってみればロシアの2分59秒73に対して、3分02秒57と差をつけられての敗戦となった。

先行逃げ切りを狙ったはずが、リードを奪いきれず。

 逆転されたと言っても、惜しいとは表現しづらいレースでもあった。中長距離に力のある選手がいるロシアに対し、日本は1500mの代表選手たちで構成されている。400mのリンクを6周、すなわち2400mで行なわれるのがパシュートであるから、日本はスピードを生かして先行逃げ切りを図らなければならない。序盤で僅差のリードに終始すれば、いずれロシアに抜かれるのは見えていた。

 その点を考えれば、実力通りの結果だった。

「最後の3位決定戦では思い切ったレースができて、これまでのワールドカップと比べても1番よいタイムでした。力は出し切れたとは思います」

 と高木が語ったように、むしろよい滑りができたレースだった。

 それでも高木は、こう続けた。

「ロシアは2分59秒台というすごく速いタイムで、その差を実感したレースになってしまいました。自分との力の差を感じたレースでした」

【次ページ】 「自分たちのベストを出しても勝てませんでした」

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