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中心選手が次々に引退。
ヤンキース、危急存亡の秋。
~生え抜きが去った盟主の過渡期~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byGetty Images

posted2013/10/04 06:00

中心選手が次々に引退。ヤンキース、危急存亡の秋。~生え抜きが去った盟主の過渡期~<Number Web> photograph by Getty Images

 メジャー通算255勝(9月25日現在)左腕、ヤンキースのアンディ・ペティットが、今季限りで現役から引退することを表明した。抜群の安定感に加え、ポストシーズン最多の19勝をマークするなど、大舞台で無類の勝負強さを発揮し、'96年をはじめ、近年5回のワールドシリーズ制覇の原動力となってきた。今年は8月末に10勝目を挙げたものの、全盛期のようなキレ味はなく、公式戦終了を前に、第一線から退く決意を固めた。

「今が一番いい引き際だと思う。ヤンキースがひとつの時代を終えて、新たな時代へ移る時だと思う」(ペティット)

 今季の開幕前には、クローザーのマリアーノ・リベラも引退を発表。昨年、ホルヘ・ポサダも引退したことで、'90年代中盤からの黄金期を支えた「コア4」と呼ばれた生え抜きの中心選手は、主将のデレク・ジーターだけとなった。

ジーターが復帰しても、極めて険しい盟主再建の道。

 彼らが卓越したリーダーと呼ばれるのは、グラウンド上のプレーが優れているからだけではない。勝ってもはしゃがず、負けても毅然とする。常に野球を第一に考え、最善の準備を続ける。そんな真摯な姿が、チームメイトから尊敬され、影響力を持つようになった。イチローが「あの人がいるだけでピッチャー(投手陣)がピリッとする。そういう選手のひとり」と言うように、その存在感はエースのサバシア以上の重みを帯びていた。

 今季は、宿敵レッドソックスに覇権を譲った。ただ、来季以降、ジーターをはじめ故障者が復帰したとしても、盟主再建への道は極めて険しい。FA、トレードなどの大型補強で戦力を充実させることは可能。だが、ペティットやリベラのような「核」となるリーダーの穴は、そう簡単には埋められない。かつてヤンキースで活躍した松井秀喜氏は、リーダー達を「自然な振る舞いの中で他の選手を引きつけていく存在。常に正しい方向に向かわせてくれる選手達」と表現した。

 確かに、まだジーターもいれば、脂が乗りはじめたカノもリーダー候補として順調に成長してきた。だが、黄金期のような重厚さには程遠い。公式戦は純粋な戦力で勝てても、より一体感が必要なプレーオフはリーダー不在では勝ち抜けない。「新たな時代」への過渡期を迎えたヤンキース。その道のりは、決して楽観視できるものではない。

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