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楽天・田中将大はなぜ
連勝記録を更新できたか?
~数字で見る絶対エースの凄み~ 

text by

鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/09/12 06:01

8月23日のロッテ戦、2死ニ、三塁のピンチで福浦和也を三振に取り雄叫びをあげた。

8月23日のロッテ戦、2死ニ、三塁のピンチで福浦和也を三振に取り雄叫びをあげた。

 8月16日の西武戦で巨人・松田清、西鉄・稲尾和久の持つプロ野球の連勝記録を抜く21連勝を飾った楽天・田中将大(24)が、9月6日の日本ハム戦も9回7安打2失点で開幕から無傷の20連勝をマーク。プロ野球記録も24連勝へと伸ばした。

 今季は開幕前にワールド・ベースボール・クラシックに日本代表として出場しながら、ボールへの対応などがうまくいかず、思うような投球が出来ないまま終わってしまった。

 ところが帰国すると、全くの別人に変身。初登板となる4月2日のオリックス戦で7回5安打1失点で勝ち投手となると、その後は42回連続無失点、6完投、2完封など圧倒的な内容で連勝記録を更新している。

 150kmを越えるストレートにスライダー、スプリットを武器に、圧倒的パフォーマンスを見せる田中だが、実はその投球内容を見比べると、意外な姿が浮かび上がってきた。

投球内容の数値は下がっても、ピンチでの強さは抜群。

 107試合消化時点(以下同)で防御率1.15、WHIP(1イニングあたり何人の走者を出したかを表す指標)0.92は昨年を上回りリーグトップ。しかし、制球力の指標とされる1四球に対する三振の比率を表すK/BBは6.00と昨年の8.89を大きく下回り、1試合平均の三振率も昨年の8.79から7.53にダウン。逆に1試合平均四球は昨年の0.99から1.25に増えている。投球内容の質を表す数値は昨年から下がっていながら、トータルの勝ち星や防御率、WHIPは大きく上がっているという不思議な現象が起こっているのである。

 そこに今年の田中の連勝の秘密が隠されている。

「悔しいけど、ピンチになるとまったくピッチングが変わってしまう」

 こう語っていたのは、交流戦で対戦したDeNAの中畑清監督だった。

 ピンチになるとギアチェンジする。これは今季、田中と対戦した相手チームから度々聞かれる言葉だった。実際に通常の被打率が2割1分4厘なのに対して、走者を得点圏に背負ったときの被打率は1割5分に下がり、満塁では13打数無安打と1本の安打も許していない。失点のピンチになるとスプリットを武器に三振を取りにいき、実際に取れる。

 そんな勘どころを押さえたエースを取り巻くチーム環境も、昨年と比べて大きく変化した。

<次ページへ続く>

【次ページ】 攻守ともに成熟した野手陣が快投を支える。

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