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復帰のアンディ・サワーが
前代未聞の極め技で勝利。
~好調・日菜太の誤算~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph bySusumu Nagao

posted2010/10/04 06:00

復帰のアンディ・サワーが前代未聞の極め技で勝利。~好調・日菜太の誤算~<Number Web> photograph by Susumu Nagao

バックから日菜太にチョークスリーパーを極めるサワー。現在は柔術を習っているという

 ボクシンググローブで極め! 9月18日、シュートボクシングで行なわれたアンディ・サワーと日菜太の大一番は、1R開始わずか48秒、スタンディング・チョークスリーパーによってサワーが一本勝ちを収めた。とどめの極めに至るまでにサワーが繰り出した打撃といえば、バランスを崩させるために繰り出したヒザ蹴りのみ。立ち技格闘技では前代未聞の出来事だろう。

 だが、シュートボクシングでは通常の打撃攻撃だけではなく、立ち技に限って投げや極め技の使用も認めている。だから反則ではなく、ルールに則った攻撃なのだ。そもそも、サワーはスリーパーを狙っていたふしがある。決戦2日前の公開スパー。筆者が「シュートボクシングならではのルールを利用したいと思うか?」と訊くと、サワーは「いい意味でルールを活用したい」と語っているのだ。

 案の定、日菜太がローを数発打っても、サワーはセオリー通りに同じ蹴りを一発も返すことがなかった。続けて日菜太が得意の左ミドルキックを繰り出すと、待っていたかのようにそれをキャッチ。その体勢のまま日菜太をロープ際まで押し込む。続けてバックに回ってチョークスリーパーへ。日菜太は片ヒザをついて逃げようとしたが、サワーは強引に相手の上半身を引っ張りあげてタップを奪った。本人は否定するが、相手が左ミドルを出すことを想定したうえで一連の動きを練習していたとしか思えない。

サワーのワールドMAX欠場が示唆するK-1の権威失墜。

 2カ月前、日菜太はK-1でサワーを破った実績を持つアルトゥール・キシェンコを“秘技”三日月蹴りによってキャンバスに這わせて一躍脚光を浴びた。その勢いで迎えたサワー戦。日菜太にとっては打ち合ってくれることが大前提だったが、その気持ちを見透かしたかのようにサワーは勝ちに徹した。眼のケガで、今年1月のシャバリ戦以来、8カ月のブランクを作ったせいもあるのだろうか。

 日菜太は、この敗北を糧に這い上がってくるしかない。一方、サワーは11月23日に開催される“2年に一度のシュートボクシングの祭典”S-cupに出場する。日程が重なり合うなど、いくつかの問題が生じたため、今年のK-1ワールドMAXには出場しない。かつて70kg級ではK-1が絶対的な権威を持っていたが、その磁場が狂い始めてきたのか。

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► 大物参戦も予定されるさいたまSAでのS-cup。

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