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多村仁志を変貌させた、
優勝への「飢餓感」。
~故障なく7年ぶりVの立役者に~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/10/03 06:00

多村仁志を変貌させた、優勝への「飢餓感」。~故障なく7年ぶりVの立役者に~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

15日、今季の出場試合が133試合になり、移籍1年目の132試合を超え過去最多出場を記録

 西武優勝までのマジックが「4」となって迎えた9月18日からの3連戦。ソフトバンク・秋山幸二監督が最も頼りにしたのは、はえ抜きの小久保裕紀でも松中信彦でもなく、5番を打つ多村仁志であった。

 第1回WBC代表の4番候補と言われたほどの素材に王貞治監督がホレ込んで多村を獲得したのは、4年前のこと。

 名門・横浜高時代からその素質は折り紙つき。しかし'95年の横浜ベイスターズ入団時から期待されながら、「あそこが痛い、ここが痛いの多村」と言われるほど故障が多い選手だった。ソフトバンク入団後、秋山幸二コーチ(当時)の猛練習についていくことでケガに強い多村に変身しようとした。

 しかし昨年も故障に悩まされ、楽天とのクライマックスシリーズ(CS)を欠場することになってしまう。

 昨オフにはFA権を行使し他球団への移籍を視野に入れていたが、思い通りに進まない。こうなるとソフトバンクで腹を据えてやるしかない。そう思ったのが秋山監督就任2年目の今年であった。

「よそから声がかかるように、少々の無理をしても結果を出そう」と多村は語る。

ファンの集いで感じた「優勝を語れる」ことの大きさ。

 多村は16年のプロ生活の中で、優勝の経験がない。'98年の横浜優勝の時は二軍暮らし。「この年齢になってくると、優勝を語れるのと、語れないのでは全然違うんです」と言う。コーチになった時、あるいは子供を教える時にも全く内容が違ってくると感じたのは、福岡に来てファンの集いに参加するようになってからだ。

「(優勝経験者の)小久保さんや松中さんの言葉には重みがある」と多村は言う。

 目前に来たチャンスを逃したくないという思いで迎えた西武との3連戦。ソフトバンクは3試合共に先制点を取られる嫌な展開。だが多村は2戦目で逆転3ランを、3戦目にはタイムリーを放ち、見事3連勝をもたらした。

「追い込まれる前とその後では、全く違うバッティングをしているのが今年の多村の特徴」と立花義家打撃コーチ。追い込まれてから心掛けるセンター返しが、3割を超える打率の要因である。

「なっ、言った通りだろ。優勝に飢えている連中ほど、結果を出してくれるよ」と秋山監督は言う。CSに向けて、またひとり頼りになる男が存在感を示した。

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