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弱点を克服した由規が、
新世代の旗手になる。 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/08/20 06:00

弱点を克服した由規が、新世代の旗手になる。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

「下半身がしっかりしてきた。腕が前に前に伸びるようになってきたら、もっと速いボールがいく。マー君と投げ合ってひと皮むけた感じじゃないの」

 6月13日、ヤクルト・由規が楽天・田中将大に投げ勝ち2勝目を挙げた試合の後、楽天・佐藤義則投手コーチは、由規の活躍をこう予言していた。

 プロ入り前、志望球団は地元の楽天と噂された由規。佐藤コーチとは同じ「サトウヨシノリ」のため「同じ球団では何と呼ばれるのでしょうか」と無邪気に語っていたが、縁がなく'08年、ヤクルトに入団した。

 高校時代から最速156kmをマークし、高い期待がかけられていたが、プロ入り後は伸び悩んでいた。活きのいいボールを投げるのだが、長いイニングを投げられない。指にマメができやすく、すぐにそのマメが潰れてしまうのだ。カルシウム剤等を服用したが効果は見られず、伊藤智仁コーチが指導したのは、最も原始的な対策だった。

「マメが破れてピッチングを止めてしまったら、それ以上強くならない。痛くても投げ続けることで新しい皮ができて、強くなる」というもの。破れても血が噴き出しても、投球をやめさせなかった。

由規を刺激する前田健、中田、唐川ら同世代ライバル。

 オールスター休み中には新しい発見があった。腕から指に汗が流れて、湿り気が多くなるとマメができやすくなる。そのため、これまで着ていた長袖のアンダーシャツを、半袖に替えた。すると本人も驚くほど腕が振れるようになり、7月29日の広島戦で158kmを記録。8月9日現在で7勝を挙げる活躍を見せている。

 今季の飛躍は、ライバルの存在も大きい。同世代の広島・前田健太が、一足先にオールスター戦に出場。先発投手の大役を果たしたのである。

「オールスター期間中、早起きしてランニングをしていました。悔しかったのでしょうかネ」と、ヤクルトの寮長・梶間健一も驚くほど精神的に変わったという。

 高校時代、共に「ビッグ3」と呼ばれた中田翔が脚光を浴び、唐川侑己も復調の兆しを見せている。同世代の前田健もセ・リーグトップの成績を残しているとなれば、由規も心穏やかではないはず。

「今だったら、マエケン世代って言われちゃいますよ」。ヨシノリ世代と呼ばれる日を目指し、後半戦を戦う。

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