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連覇、伏兵、死のブロック……。
甲子園ベスト8進出校を占う。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/08/10 10:30

連覇、伏兵、死のブロック……。甲子園ベスト8進出校を占う。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

身長163センチと今大会の背番号1の中では最も小柄な前橋商・野口亮太は、宇和島東戦で多彩な変化球を駆使し、3安打完封の快投を見せた

 夏の甲子園大会がいよいよスタートした。今年の大きな話題は昨年の優勝校・中京大中京の2連覇、さらに春・センバツ大会の優勝校・興南の春夏連覇がなるかどうか。3回戦までの組み合わせは既に決まっている。すでに勝ち上がっているチームがいるので、そこから順に8つのブロックにどんなチームがいるのか見ていこう。

破壊力抜群の打線を誇る九州学院、北大津。

 松本工(長野)を退けた九州学院(熊本)のブロックには東北勢の能代商(秋田)、山形中央(山形)と、九州勢の一角・鹿児島実(鹿児島)が控えている。能代商は県大会6試合のうち5試合を逆転勝ちした驚異の粘り腰、山形中央は県大会4試合で3点しか許していない左腕・横山雄哉の快投、鹿児島実は左腕・用皆崚から左腕・野田昇吾へつなぐ投手リレーにチームの命運を託すが、松本工の好投手・柿田裕太を攻略した九州学院打線の破壊力は本物。とくに1年生で4番に座る萩原英之(一塁手)の存在感は圧倒的で、準々決勝進出の最短距離にいるといってもいいだろう。

 勝ち上がった成田(千葉)、八戸工大一(青森)、北大津(滋賀)、前橋商(群馬)が揃うブロックでは北大津対前橋商の2回戦が見ものだ。北大津は常葉橘(静岡)戦で18安打・11得点した打線が迫力満点。とくに山口元気(捕手)、小谷太郎(右翼手)の中軸と、ともに2年のバント名人・岡本拓也(投手)と村井昇汰(遊撃手)の8、9番は北大津の元気の源と言ってもいい。さらに技巧派・岡本からMAX144キロの本格派・横江巧真へつなぐ緩急のリレーも見事で、勝ち上がっていく要素は他校より多いと見た。

 この北大津と対戦する前橋商は1番・森澤翼(2年・右翼手)、3番・後藤駿太(中堅手)、左腕・野口亮太の個人技で対抗する。野口が宇和島東戦の快投(3安打完封)を再現すれば、接戦を制する守りと機動力で北大津を上回っているので準々決勝進出も夢ではない。

名門の中京大中京、報徳学園の大きな存在感。

 遊学館(石川)と関東一(東東京)が勝ち上がったブロックには昨年夏の優勝校・中京大中京(愛知)がデンと控える。走攻守ともに隙はなく、初戦では好投手・岩本輝を擁する南陽工(山口)との接戦を逆転でものにし、ベスト8進出の可能性はグンと増した。

 その隣のブロックには名門・報徳学園(兵庫)が睨みをきかせている。チーム打率4割を誇り、県大会の準決勝・神戸国際大付戦ではドラフト候補・岡本健を攻略して8対4の大差で退けている。当然、このブロックでは勝ち上がりが期待されるが、個人技で注目したいのが1回戦で激突するいなべ総合(三重)と福井商(福井)の試合。いなべ総合は近藤佳史(投手)と中園洋輔(捕手)のバッテリー、福井商はMAX148キロ右腕・長谷川陽亮の右腕にチームの命運を託す。3人とも筆者が見た試合では万全のデキではなかったので、この大会は名誉挽回の意気込みで全力を出し切ってもらいたい。

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