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アジア初の世界選手権、
沖縄で日本が悲願を達成。
~フリーダイバー、廣瀬花子の快挙~ 

text by

野田幾子

野田幾子Ikuko Noda

PROFILE

photograph byKanako Nagashima(Adventure35)

posted2010/08/17 06:00

廣瀬花子は、スタティック6分13秒、ダイナミック177メートルで女子日本記録を更新した

廣瀬花子は、スタティック6分13秒、ダイナミック177メートルで女子日本記録を更新した

 7月10日、灼熱の太陽が照りつける沖縄市の屋外50メートルプール。24歳の女子フリーダイバー、廣瀬花子が、潜水で泳ぎ続ける「ダイナミック ウィズフィン」(以下、ダイナミック)競技を行なっていた。彼女の泳ぐスピードに合わせ、人々の群が、熱に焼けたプールサイドを往復しながら選手の姿を覗き込む。中には、同競技の日本記録保持者である平井美鈴、フリーダイビングを日本に広めた松元恵の姿もあった。何度か目のターンの後、廣瀬はプールの中程、177メートル地点で水面に姿を表した。ゴーグルを外し、ジャッジの目を見据えて叫んだ。「アイム、オッケー!」。同時に親指と人差し指で円を作る「OK」サイン。フリーダイビング世界選手権で日本女子チームが初優勝を決めた瞬間だ。

日本男子もデンマークに次いで銀メダルを獲得。

 フリーダイビングは、胸一杯に吸った空気だけで潜水深度と距離を競うスポーツだ。今回開催された『フリーダイビング世界選手権2010沖縄』は、'96年から始まった団体戦の第7回目で、アジアでの開催は初。12カ国、48選手が参加し、国別・男女別チームで争われた。

 競技はひとチーム3人、3種目で争われる。フィンを履き海洋で深さを競う「コンスタント ウィズ フィン」、プールで息止めの時間を競う「スタティック」、そして冒頭の「ダイナミック」の総合ポイントで勝敗を決める。仮に競技中、酸欠で失神したらポイントはゼロ。それゆえチーム全員が確実に達成できる深度や距離を計算して競技にのぞむ。自国選手だけでなく、ライバル国選手の自己ベストや体調などの情報も加味して戦略を練る必要がある、頭脳・心理戦要素の高いスポーツだ。

「世界大会が日本で開催できて、女子が強豪ロシアを破って世界一……。'02年から描いていた夢がかなった」

 今大会の選手兼オーガナイザーを務めた国内唯一のプロフリーダイバー、篠宮龍三が感慨深げにつぶやいた。日本男子は、デンマークに次いで銀メダル。日本でフリーダイビング競技が始まって13年目、日本チームは男子も女子も、ようやく世界に誇れる結果を残した。

「ノーマークだったデンマークに負けたのが悔しくて。次は絶対優勝してやる」

 次の団体戦は'12年。篠宮の言葉が現実になる日も、そう遠くはなさそうだ。

■関連リンク► 10年越しに叶えた2つの夢。フリーダイバー・篠宮龍三、闘いの軌跡。
  ~日本で世界選手権、初開催~
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► 篠宮龍三オフィシャルブログ 『 One Ocean ~海はひとつ! 』

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