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イスラエルにバルサを!
2人の男が抱く大きな野望。
~辺境で燃えるクライフの血筋~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

PROFILE

photograph byAFLO

posted2013/03/02 08:00

カタルーニャ州選抜で、コーチとしてクライフ父(右)を補佐した経験もあるO・ガルシア。

カタルーニャ州選抜で、コーチとしてクライフ父(右)を補佐した経験もあるO・ガルシア。

 マッカビ・テルアビブをイスラエルのバルサにする――。

 そんな野望を抱いてイスラエルに降り立った、ふたりの元バルサ選手がいる。

 ひとり目は、あのヨハン・クライフの息子、ジョルディ・クライフだ。現役時代はバルサやマンチェスター・Uでプレーするも、父ほどの活躍は見せられなかった彼は、引退後すぐにキプロスのAEKラルナカへ。そこでスポーツディレクター職について学ぶと、昨春にマッカビ・テルアビブへとやってきた。

 そんな若きスポーツディレクターが、チームにバルサのエッセンスを加えるために監督として誘ったのが、昨季までバルサのユースチームを率いていたオスカル・ガルシアである。バルサユースの監督としてバルサ内部での評価も高かったが、彼はイスラエル行きを決断する。

「あのままバルサにいたら、2年後には自動的にバルサBの監督になることができた。それでも、僕はイスラエルにバルサのようなクラブを作りたかったんだ」

 現役時代にバルサでもチームメイトだったふたりは、イスラエル国内最多タイトル獲得数を保持するも、'02-'03シーズン以降優勝から遠ざかっている名門クラブの改革に着手した。

紛争の地での危険にも怯まず、攻撃サッカーを追求。

 バルサ化の第一歩として、ベティスに所属したことのあるカルロス・ガルシアら、リーガでプレー経験のあるスペイン人選手を補強。エースのエリラン・アタルを中心に、チームのプレースタイルをより攻撃的なものにした。今季の総得点49という数字は、2位を15点も上回るもの。2月12日時点でリーグ戦の首位を走るなど、ふたりのプロジェクトは順調に進んでいる。

 10年も優勝から遠ざかっているということもあり、ファンからのプレッシャーは大きいが、それ以外でも苦難は多い。

 昨秋のイスラエル軍による「防衛の柱作戦」による爆音や、市内でのバス爆破などは、スペインでは起こりえないことだろう。しかし、オスカル・ガルシアは「あの爆音は最初は驚いたけれど、みんなが平然としているから慣れたよ」と語るなど、意外な頼もしさも見せている。「来季はヨーロッパの舞台で戦いたい」と語る指揮官。10年ぶりに国内で優勝し、来季のチャンピオンズリーグでバルサと対戦することをふたりは夢見ている。

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