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“西武の栄光”を知る男、
伊東勤の新たな挑戦。
~ロッテの課題はポスト里崎の育成~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/01/19 08:00

「競争をさせながらチーム力を上げていく」と、6年ぶりとなる監督復帰の決意を語った。

「競争をさせながらチーム力を上げていく」と、6年ぶりとなる監督復帰の決意を語った。

 下克上と呼ばれた快進撃で'10年に日本一となって以来、2年連続Bクラスと低迷するロッテの復活は、新監督・伊東勤に託された。オーナー代行を務める重光昭夫が、伊東の卓越した野球理論にひかれ、チーム再建を依頼。韓国プロ野球・斗山でヘッドコーチをしていた伊東から、“監督就任”への色好い返事が届いたこともあり、一時は続投と言われていた西村徳文前監督は解任となった。

 伊東は西武黄金時代の中心選手として22年間のプロ生活で14度のリーグ優勝、8度の日本一を経験し、'03年に現役引退。'04年に西武の監督となると、1年目にプレーオフでダイエー(当時)を破り、日本シリーズでは中日を下して日本一に輝いている。名古屋で行なわれた最終戦の直後、オーナー辞任を表明していた堤義明からこんな電話が入った。

「(コクドの有価証券虚偽記載問題などで)肩身の狭い思いをさせてしまったが、日本一は嬉しかったよ」。“生え抜き”監督による優勝は、堤の悲願だった。

“生え抜き意識”の強いロッテで成功するために必要なこと。

 広岡達朗と森祇晶という二人の名将に育て上げられた伊東が理想とするのは、守備を柱とし、そのうえで確実に点を取りに行く野球だ。ロッテでは、バレンタインの後を継いだ西村前監督のように“サポーターとの一体感”を前面に打ち出すよりも、選手主体の野球に方向転換してくるはずだ。昨年10月の就任会見ではこう語っていた。

「ネックは捕手。里崎智也と控えの差がありすぎる。里崎をおびやかすような捕手を育て上げたい」

 バッテリーを中心とした野球を目指す伊東にとって、36歳となる里崎の後継育成は重要な課題だ。'11年に入団した小池翔大や、今季ドラフト3位で獲得した田村龍弘など、若手の有望株もいるだけに、かつて細川亨を正捕手に育て上げた手腕に期待が集まる。

 だがロッテという球団は、選手同士の関係性など、“生え抜き意識”が強いのが特徴だ。よそ者の伊東が、入り込んでいくのは並大抵のことではない。巨人からダイエーの監督として福岡に移った王貞治はかつて、「東京を忘れた時点でようやく福岡に認められた。時間がかかったけれどね」と語っていた。伊東の新たな挑戦の成否は、“西武の栄光”を忘れられるかどうかにかかっている。

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