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横浜のエースに返り咲いた三浦大輔。
苦悩の日々を救った、妻のひと言とは。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/10/04 11:50

横浜のエースに返り咲いた三浦大輔。苦悩の日々を救った、妻のひと言とは。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

2005年以来の150球越えとなった9月25日の対中日戦。「1つでも勝つのは大変なことなんです。次、頑張ります」と語った三浦。

 横浜スタジアムのマウンド後方で、三浦大輔はグラブを前に構えながら上半身を少し反らす。

 10月2日、ヤクルト戦。6回裏にDeNAが2対3と1点差に詰め寄った直後の7回表だった。

 2死二塁のピンチを招くと、三浦は気持ちを落ち着かせるようにフーッと軽く深呼吸をしてから投球動作に入る。

 ところが……福地寿樹の打球は無情にもレフト前へ。7回4失点でマウンドを降りた三浦は敗戦投手となった。

「7回の1点ですよね。せっかく前の回に打線が2点を取ってくれてチームを盛り上げてくれたのに、2アウトから点を与えてしまって……本当に申し訳ないっす」

 三浦は、苦笑交じりで試合をそう振り返った。しかし、ファンクラブの会員たちと笑顔で触れ合うその様子は、およそ敗戦後の姿とはかけ離れていた。

「いやぁ、そんなことないです。これでも結構、へこんでいるんですよ。自分にとってホームの最後の試合だったんで、ファンの皆さんに10勝目を見せたかったんですけど」

 9月4日に9勝目を挙げて以来、約1カ月、勝利から遠のいている。そのため本人が反省するのも無理はないのかもしれないが、今季、彼が積み重ねた勝ち星は、昨年までのものとは明らかに重みが違う。

 9勝8敗、防御率2.83――。

 この数字は、三浦の復活の証でもあるのだ。

プロ野球人生で最大のショックとなった、異例の先発1回ノックアウト。

 時計の針は2年前まで遡る。

 2010年、開幕当初こそ3勝1敗とまずまずの投球を見せていたものの、6月に入ると全く勝てなくなり二軍落ち。終盤に一軍復帰を果たしたものの、この年最後の登板試合では5回途中7失点と滅多打ちを食らった。3勝8敗、防御率7.23。先発ローテーションとなって以降、最悪の成績でシーズンを終えた。

 背水の覚悟で臨んだ翌'11年も三浦の試練は続いた。

 シーズン初登板の4月15日のヤクルト戦で5回3失点。本人いわく調子は悪くなかったそうだが、直後にファーム行きを通達された。10日後に一軍に復帰し、4月27日の中日戦では5回途中1失点とまずまずの投球を披露した。だが、次の5月4日の広島戦で思いもよらぬ現実を突きつけられる。

 初回に3点を献上して迎えた2回、自分の打席で代打を告げられてしまったのだ。先発としては異例の1回ノックアウト。翌日、三浦は一軍登録を抹消された。

「俺はもう、今年の戦力から外されたな」

 このときのショックはプロ野球人生で最も大きなものだった、と三浦は語っている。

【次ページ】 「引退」を考えていた三浦を甦らせた、妻のひと言。

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