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41年ぶりの快挙達成。
中澤雅人の“二つの夢”。
~ヤクルト浮上の鍵になれるか~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/05/25 06:00

41年ぶりの快挙達成。中澤雅人の“二つの夢”。~ヤクルト浮上の鍵になれるか~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

最速147kmの直球とカットボールが武器。ヤクルトの選手として5年ぶりの新人王を狙う

「自分たちがいかに恵まれた環境で野球をやってきたか。それが分かった時、謙虚に野球に取り組めるようになった」。社会人時代(トヨタ自動車)をそう振り返ったのは、開幕から3連勝を記録したヤクルトの新人、中澤雅人である。

 '08年、予選で敗れた中澤ら11人のトヨタの選手は、他チームの補強選手として都市対抗に出場。その経験がひたむきに野球に取り組むきっかけになったと言う。

 当時のトヨタには'09年のドラフト1位、2位で共にロッテに入団した荻野貴司と、大谷智久がいた。荻野は関西学院大時代、ベストナインに5回輝き、大谷は甲子園の優勝投手で、早大時代もエースとして活躍した。一方、中澤は甲子園には出場したものの、中央大時代には二部落ちを味わい、大学通算5勝に終わっている。

投球術を熱心に研究して勝ち得たドラフト1位指名。

 実績で見劣りする自分が社会人で活躍するには、左腕を活かしカーブを有効に使うしかない。そう考えた中澤は工藤公康、石井一久のピッチングを録画し、熱心に投球術を研究。その結果、左腕独特の大きなカーブとコントロールの良さがスカウト陣の目にとまり、即戦力の中継ぎ候補として'09年、ヤクルトに1位指名されたのである。

「活躍するには外角に落ちる球が必要」とキャンプ中、伊藤智仁投手コーチからアドバイスを受けた中澤は、二人三脚で外に落ちるカットボールの修得に取り組んだ。そんな中澤に白羽の矢が立ったのは、開幕4戦目の中日戦のことだった。

「中日は右の館山昌平を想定して、左打者を並べてくると思ったから、あえて左の中澤を起用した。石川雅規、村中恭兵と左が3枚揃えば、相手を撹乱できる」

 高田繁監督の奇策がまんまと成功。ヤクルトでは8年ぶりの初先発、初勝利を挙げ、4月23日、5月1日の横浜戦にも勝利。新人投手では球団史上41年ぶりとなる開幕3連勝を記録したのだった。

夢はトヨタ時代の仲間との優勝争い、そして……。

「中澤がいなかったら……と思うとゾッとするよ」。なかなか勝ち星が積み上がらない投手陣を横目に、荒木大輔投手コーチが苦しい胸の内を明かしてくれた。

「今はチャンスをもらっているだけです」と、謙虚に語る中澤だが、彼には二つの夢があるという。

「ロッテの荻野、大谷と日本一を争うこと。それから運転解禁の2年後に、トヨタの最高級車で球場入りすることです」

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