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<Jリーガーが見たEURO> 佐藤寿人のストライカー論 「ディナターレに自分を投影した」 

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

PROFILE

photograph byToshiya Kondo

posted2012/07/11 06:02

Jリーグを代表するゴールハンター・佐藤寿人。
彼の目には、欧州のストライカーたちはどう写ったのだろう。
好きな得点パターン、点取り屋たちへの共感、
さらに0トップまで“ゴール前”の争点を深掘りする。

 EUROを満喫したのは、なにもサッカーファンばかりではない。

 Jリーガーもウクライナとポーランドで繰り広げられた欧州ナンバーワン決定戦に熱い視線を送っていた。練習に差し障るため、眠い目をこすりながら深夜に観戦するようなことはしないが、録画して、翌日に見ることを楽しみにしていた選手は少なくない。

 サンフレッチェ広島の佐藤寿人もEUROに一喜一憂したJリーガーのひとりである。ベスト4が出揃ったその日、日本を代表する、このストライカーのもとを訪ねた。

 今季、Jリーグ史上初めて9年連続2桁得点を記録した佐藤は、かねてから元イタリア代表のフィリッポ・インザーギのファンであることを公言している。DFと駆け引きしながらパスを引き出し、抜け目なくゴールを奪うスタイルは、まさにインザーギそのものだ。

粗削りなバロテッリより、自分の形を持っているディナターレ。

 そんな彼が今大会で自身を投影したのが、イタリア代表のベテランFW、アントニオ・ディナターレである。

アントニオ・ディナターレ   FW 170cm/70kg
1977年10月13日、イタリア・ナポリ生まれ。セリエA・ウディネーゼ所属。'09-'10から2季連続得点王に。代表では控えの切り札として活躍。 

「イタリアが大好きなので応援しているんですが、アントニオ・カッサーノはファンタジスタ系だし、マリオ・バロテッリはポテンシャルを感じるけど、まだ荒削りで本能に頼った感じ。そんななか、ディナターレには刺激を受けました。フィニッシュまでのボールの引き出し方が多彩で、セリエAを見る限りゴールのバリエーションも豊富。自分の形を持っているから、落ち着いてシュートを打てるし、決断力もある」

 グループリーグのスペイン戦の61分。イタリアが奪った先制点は、アンドレア・ピルロのパスを受けたディナターレがGKの動きを見極めて、逆サイドに流し込んだものだった。ピルロが持ち上がった瞬間、ディナターレは少し膨らんでから飛び出してオフサイドラインを掻い潜り、ピルロから最高のパスを引き出した。

「パスを引き出すには、DFがどこにいて、味方がどんな状態でボールを持っているかを観察しておく必要があります。さらに、どのタイミングでどこに走ればシュートにつながるか、イメージすることも重要。それには練習や試合で何度も繰り返さなければなりません。本能でやっている選手は少ないんじゃないでしょうか。一見、感覚的なようで、みんな理詰めで考えているはずです」

 インザーギに心酔する理由も、ここにある。

<次ページへ続く>

【次ページ】 ストライカーの醍醐味は、パサーと感覚を共有すること。

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