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よく考えると不思議?
得失点差という制度の盲点。
~“ドーハの歓喜”だった可能性!?~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byKoji Asakura

posted2012/03/27 06:00

よく考えると不思議?得失点差という制度の盲点。~“ドーハの歓喜”だった可能性!?~<Number Web> photograph by Koji Asakura

当該国同士の対戦成績が優先なら、「ドーハの悲劇」は「ドーハの歓喜」になっていた?

 先月行なわれたワールドカップ・アジア3次予選で、ちょっとした騒動が起きた。概略は次のようなものだ。

 E組2位のカタールと3位バーレーンは、最終戦を前に勝ち点3差。だが、得失点差では9もの差があったため、カタールの2位通過は確実と見られていた。ところが最終戦で、バーレーンはインドネシアに10対0で勝利。結果的に、カタールがイランと引き分けて2位を守ったのだが、FIFAはこの10点差に「両者の力関係を考えると不自然だ」と疑惑を持ち、調査に乗り出した――。

 古今東西、この手の話題は珍しくない。だからというわけでもないが、勝ち点で並んだ場合、個人的には、得失点差よりも当該チーム間の成績を優先すべきだと思っている。妥当性、納得性がより高いというのが理由だが、実際のところ、得失点差優先のほうが主流となっている。

 さて、その是非はともかく、どちらを優先するかで、当然、結果は変わりうる。

 例えば、「ドーハの悲劇」で知られる、'93年のワールドカップ最終予選。全試合を終え、日本と韓国が勝ち点で並んだが、得失点差で上回り、本大会出場を決めたのは韓国だ。しかし、直接対決で勝利していたのは日本。もし当該成績優先なら、アメリカへ行っていたのは日本だった。

他の4カ国よりも先に全試合を終える、W杯最終予選で大事なこと。

 一方で、逆の例もある。'04年のアテネ五輪最終予選では、日本とバーレーンが勝ち点で並び、最終戦を迎えた。結果から言えば、最後に日本が勝ち、バーレーンは引き分けて決着がついた。

 しかし、最終戦を前に、得失点差では日本が4点リードしていたものの、直接対決ではバーレーンの1勝1分け。当該成績優先ならば、バーレーンは最終戦に勝ちさえすればよかった。だとすれば、違う結末になっていても不思議はないどころか、その可能性のほうが高かったとさえ言えるのではないだろうか。

 先ごろ、ワールドカップ最終予選の組み合わせが決定し、日本は最終節に試合がなく、他の4カ国よりも先に全8試合を終える日程が組まれた。

 よもや得失点差にハラハラしながら、最終節の行方を見守ることなどないとは思うが、そこは確実に、自らの手で本大会出場を決めたいところだ。

 勝ち点で離してしまえば、疑惑の得点操作も出る幕はないのである。

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