SCORE CARDBACK NUMBER

大晦日イベントに見た、
日本格闘技界の現状。
~石井慧の姿が象徴したもの~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph bySusumu Nagao

posted2012/01/14 08:00

ヒョードルの強烈な右ストレートを受け、KO負けを喫した石井は鼻骨骨折と診断された

ヒョードルの強烈な右ストレートを受け、KO負けを喫した石井は鼻骨骨折と診断された

 歴史は繰り返すのか。大晦日恒例の格闘技イベント『元気ですか!! 大晦日!! 2011』は、今回格闘技とプロレスの混合で行なわれた。この種のイベントでプロレスが複数組まれたのは2000年の『INOKI BOM-BA-YE』以来、11年ぶりのことだ。

 日本の総合格闘技はプロレスから枝分かれする形で生まれた。その後、完全に分離し、ひとつの競技として確立したかのように見えた。しかし、ここ数年アメリカの格闘技マーケットとは対照的に、日本のそれは地盤沈下。昨年、K-1はついに活動休止に追い込まれた。

 K-1と協調路線をとっていたDREAMも例外ではなく、ファイトマネーの高い外国人選手は呼びにくくなり、対戦カードは日本人同士が中心に。『元気ですか!!』の運営母体はDREAMをプロモートするリアルエンターテインメントだったが、今回はアントニオ猪木氏が会長を務めるプロレス団体『IGF』に協力を求め、ようやく開催にこぎ着けた。

一年ぶりに日本のリングに登場した石井慧だったが……。

 マッチメークの内訳は総合&異種格闘技11戦、キックボクシング2戦、プロレス4戦。結論から先にいうと、多くの観客は格闘技とプロレスを全くの別物として捉えているように見受けられた。格闘技には真剣勝負としての、プロレスにはエンターテイメントとしての良さがある。

 この日はプロレスラーとして登場したジョシュ・バーネットが鈴木秀樹を相手にダイナミックな反り投げを披露すると、場内はどよめいた。その一方で北岡悟が青木真也の裸絞めから逃れると、称賛の拍手が送られた。少なくとも以前のように格闘技とプロレスを重ね合わせて見ている観客は少数派のように思えた。

 トリはエメリヤーエンコ・ヒョードルと石井慧の一騎討ち。石井が日本のリングに登場するのは一昨年の大晦日以来1年ぶり。それ以降はアメリカに練習の拠点を移して活動していた。しかし、ヒョードルとの実力差と体格差は如何ともしがたく、1R2分34秒右ストレートをヒットされるとキャンバスに崩れ落ちた。

 終了時間は23時58分。ドクターの診察を受ける石井を尻目に、リング上では猪木氏が主役の新年カウントダウンが強行された。なかなか起き上がってこれない石井の姿に、日本格闘技界の現状を重ね合わせたのは筆者だけではあるまい。

■関連コラム ► “格闘ネイティブ”世代が台頭! 日本の格闘界は、どう変わるのか?
► K-1戦士がプロレスのマットに続々! 格闘技界に起っている“逆転現象”。

ページトップ