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グランドスラムでも不振。
混沌たる五輪代表の行方。
~日本柔道界、“波乱”の理由~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byShino Seki

posted2011/12/25 08:00

グランドスラムでも不振。混沌たる五輪代表の行方。~日本柔道界、“波乱”の理由~<Number Web> photograph by Shino Seki

2011年グランドスラム東京で、川端龍に朽木倒しで一本勝ちし、2連覇を果たした山本浩史

 12月9日から11日まで、柔道の国際大会「グランドスラム東京」が東京体育館で行なわれた。国際大会とはいえ、海外のトップクラスには欠場した選手も少なくはなく、顔ぶれとしてはやや寂しい色合いとなった。

 ロンドン五輪代表選考の大会でもある今回、日本勢は各階級にそれぞれ4名が出場。100kg超級は、石井竜太が準々決勝に進んだのが最高、100kg級でも穴井隆将が銅メダルにとどまるなど重量級は寂しい結果に終わり、世界選手権の不振を払拭できなかった。

 また、第一人者と目される選手が順当に結果を残した階級がある一方で、波乱が起きた階級も目立った。

 例えば60kg級では、本命であるはずの北京五輪代表、平岡拓晃が準決勝で大学生の川端龍に試合開始14秒で一本負け。決勝では、川端に、やはり大学生の山本浩史が一本勝ちし優勝。

 66kg級でも、2011年の世界選手権王者である海老沼匡と'10年の世界王者の森下純平が敗れた間隙を縫って髙上智史が初出場で優勝している。

常に勝利を求められる第一人者と、失う物のない挑戦者の明暗。

 思わぬ結果になった階級が多かったのはなぜか。それは、第一人者の選手の消耗と、失う物のない選手の意気込みにある。その階級を代表する選手はハードなスケジュールの中で常に勝利を求められ、緊張が続いてきた。今大会にも優勝を目指して臨んでいても、どこかに隙が生じた。平岡は、敗因をこのように語る。

「気持ちもふわふわしていました。でも相手は決めに来ました。その違いです」

 一方、若い選手たちは、五輪代表へ向けてただ挑む立場である。だから、優勝した山本は、こう口にした。

「大会は、チャレンジするつもりで臨んでいました。(五輪代表に)首の皮一枚つながりました」

 事情はどうあれ、今回の結果を受けて、五輪代表の行方が混沌とした階級が浮かび上がってきたことになる。

 2012年、1月中旬にはマスターズ、2月以降もグランドスラム・パリなどの国際大会が行なわれる。そして4月の男女の重量級の国内大会、5月には全日本選抜体重別選手権と続いていく。

 その中で代表の切符を手にするには、なによりも、執着心の強さが鍵となるように思える。

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