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マンチェスターのUもCもCL敗退……。
ファーガソンは帝国崩壊を防げるか? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2011/12/23 08:01

マンチェスターのUもCもCL敗退……。ファーガソンは帝国崩壊を防げるか?<Number Web> photograph by Getty Images

「ホームでのバーゼル戦(3-3引き分け)がダメだったということ。ケアレスミスで試合に負けたのだから。ここ数年のチーム成績はとりわけ凄かった。世界で最も素晴らしい大会で負けてしまったのは、大いなる損失だ」と敗退したバーゼル戦後に語ったファーガソン監督

 12月7日に行われたCLグループステージ最終節で、マンチェスターUとマンチェスターCの敗退が決まった。

 プレミアリーグ勢と言えば、今や決勝トーナメント進出が当たり前だ。しかも、開幕から国内リーグで首位争いを演じるマンチェスターの両雄には、欧州をも席巻するのではないかという声すら出ていただけに、衝撃的な早期敗退となった。

 イングランドのメディアは、マンUの結果を、より問題視した。マンCの敗退は完全にあり得ないシナリオというわけではなかったが、マンUの敗退は、あってはならないシナリオだったからだ。

 マンCは、プレミアで直前の第14節まで無敗のまま首位に立っていたが、CLでは、初出場にして「死の組」に属していた。通常は勝ち抜けの目安となる合計10ポイントを獲得するも、歴とした欧州の強豪であるバイエルン・ミュンヘンと、復興著しいナポリと同居したグループAでは、3位でのヨーロッパリーグ(EL)「降格」の憂き目を見た。

 一方のマンUは、勝ち上がって当然のグループCに属していた。

 2位につけたバーゼルは、グループステージ敗退の常連。1位となったベンフィカも、欧州の強豪と呼ばれていたのは前世紀の話だ。ところが、マンUが勝利を収めたのはガラツィ戦のみ。その2試合でさえ、CLでは無名のルーマニア勢を相手に完勝とは言い難い内容だった。

 合計9ポイントで3位に終わったマンUは、6年ぶりのグループステージ敗退。前回も、やはり予想外の結末だった。当時の敗退直後は、その前シーズンに国内で3位に甘んじていたこともあり、アレックス・ファーガソン監督が築き上げた「帝国」の崩壊さえ危惧された。

メディアが煽った、マンU帝国崩壊の序曲とは?

 今回も、メディアはマンUの危機感を煽った。

 バーゼルに敗れたCL最終戦(1-2)では、キャプテンにして守備の要であるネマニャ・ビディッチが膝を負傷。試合の翌々日には、前十字靭帯断裂で今季絶望との診断が下された。また、攻撃力が自慢であるはずのチームは、国内でも1得点止まりの試合が7試合続いていた。

 元キャプテンのロイ・キーンが、バーゼル戦のテレビ解説者として口にした「フィル・ジョーンズ、クリス・スモーリングといった若手は、まだ力不足なのではないか?」という発言は、扇動好きな大衆紙のみならず、高級紙でも引用された。

 ファーガソンが、彼らのような20歳前後の選手に頼らなければならない理由として、『ガーディアン』紙などは、米国人オーナーに巨額の借金を押し付けられているが故の補強不足を改めて指摘した。

【次ページ】 開幕5連勝の時点では若返り成功と称賛されていた……。

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