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第二の今村、菊池は飛び出すか。
優勝候補として注目は、この6校!! 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph bySPORTS NIPPON

posted2010/03/24 12:30

第二の今村、菊池は飛び出すか。優勝候補として注目は、この6校!!<Number Web> photograph by SPORTS NIPPON

花咲徳栄の五明大輔投手(3年)は、九州王者の嘉手納打線に対してスライダー、ツーシーム、フォークを低めに集めて打たせてとる投球で、2安打無四球完封に抑えた

 春を告げるセンバツ大会がいよいよ始まった。昨年、今村猛(清峰→広島)、菊池雄星(花巻東→西武)という超高校級投手が期待通りの活躍をした反動からか、今大会前「物凄い逸材はそうそう毎年出現しないよ」と冷めた声もあった。しかし、最近の高校野球からは毎年のように新しいスターが飛び出してくる。そういう逸材情報とともに、大会3日目、1回戦9試合を終了した時点での有力校の動向を紹介したい。

春は投手力、特に左腕の好投手が活躍するというセンバツ。

 大会2日目にして有力校の天理、開星が敗退し、優勝候補の一角と見られていた広陵も立命館宇治に1点差まで迫られ大苦戦した。他の有力校はどうだろう。前評判通り勝ち上がっていけるのか、それとも伏兵に足をすくわれるのか。初日から6日目までの4校ごとのブロックに1~8と数字を振って、ベスト8進出までの道のりを考えていく。

 1ブロックの敦賀気比と花咲徳栄(はなさきとくはる)は対照的なチームだ。天理守備陣の失策を確実に点に結びつけた敦賀気比の抜け目のなさに対して、花咲徳栄は左腕・五明大輔(ごみょう だいすけ)の力投が断然光った。春は投手力と言われ、とくに左腕の好投手が活躍するチームが勝ち上がるジンクスがある。全体的な守備力でも上回る花咲徳栄が勝ち上がれば、ベスト8を飛び越えて台風の目になる可能性すら秘めている。

 2ブロックは有力校・開星を1点差で破った向陽と日大三の対決になる。前評判では日大三の有利が伝えられるが、それほど差はない。日大三の左腕・山崎福也(やまざき さちや)は球威こそあるが投手経験が浅いため一本調子になって痛打されるケースが山形中央戦では目についた。日大三が力で上回るのは確かだが、向陽が接戦に持ち込めれば1回戦の再現も十分考えられる。

剛速球を誇る投手でも荒れ球では高校野球は勝ち上がれない。

 3ブロックは前橋工の左打線(出場した全選手が左打者)を2安打完封した宮崎工の左腕・浜田智博に対して、広陵がどう挑んでいくのか興味がある。広陵のスターティングメンバーのうち左打者は3人だけなので、浜田の技巧マジックが再現されるとは考えづらい。

 では、広陵の右腕・有原航平はどうだろう。立命館宇治に与えた四死球は合計8個(四球5、死球3)という荒れよう。13奪三振、MAX145キロは評価できても、それだけで勝ち上がれるほど高校野球は甘くない。大乱戦を制するカギは緻密な攻撃。1回戦で2つのバントを失敗した広陵に対して、宮崎工は3回成功させた。この差が実際の点差に反映されるような気がする。

【次ページ】 中京大中京、智弁和歌山、興南と有力校が揃う4ブロック。

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