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最多勝右腕・館山昌平に
求められる「えげつなさ」。
~打倒巨人の秘密兵器とは?~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/03/24 06:00

最多勝右腕・館山昌平に求められる「えげつなさ」。~打倒巨人の秘密兵器とは?~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

昨年はひとりで貯金を「10」つくり、球団史上初のクライマックスシリーズ出場に貢献した

 昨年16勝を挙げ、中日・吉見一起と並んで最多勝投手に輝いたヤクルト・館山昌平。キャンプ中に右肩に違和感を感じたため、じっくりと調整に取り組み開幕へ向けて調子を上げている。

 本人は昨年の最多勝について「開幕からの8連勝はできすぎ」と想像以上のピッチングであり、反省点は「巨人に通用しなかった」ことだと話してくれた。

 巨人戦には6試合に登板して2勝3敗。勝敗よりも防御率6.81はローテーション投手として情けない、と言う。そこでキャンプ中に巨人相手の配球を考え続け、もっと内角を使うべき、という結論に達した。一番有効な球は何か。たどり着いた答えが、シュートだった。

西本直伝の“えげつない”シュートで打倒巨人を誓う。

 そんな時だった。キャンプ中に出かけた沖縄・那覇の焼肉店で、ある人物とバッタリ出会った。今年からロッテの投手兼バッテリーチーフコーチになった西本聖である。

 西本は巨人時代にシュート投手として活躍。昭和58年の日本シリーズでは最強と言われた西武相手に、内角を抉るシュートを駆使し2勝を挙げている。

 館山はその強気のピッチングを、テレビで見た時に「ピッチャーはスピードだけではない」と感じたと言う。その西本との偶然の出会い。トイレに立ったのを機会に西本の席に挨拶に来た館山は、思い切って聞いたのだった。

「西本さん、シュートの投げ方を教えて下さい。巨人戦での武器にしたいと思っているのですが」

 西本はシュートの握りを教えながら、あるアドバイスをした。

「内角をもっと上手に使えば、もっと勝てる。あとは気持ちの問題なんだ」

 館山はノドにつっかえたものが、何か取り除かれた気になったという。

「勝ち星が上がったら恩返しをします」

 翌日のブルペンには教わった握りでシュートを投げる、館山の姿があった。

 投手は一つの球を覚えることで、投球の幅がガラリと変わってくる。勝負球となるスライダー、シンカーを生かすシュートは、巨人にとって脅威になるだろう。

 ボランティアや少年野球指導にも力を注ぐ館山について、西本はポツリと言った。

「優しすぎるんだ。この世界、もっとえげつなく生きないと」。新たに覚えたシュートは、えげつない球になるだろうか。

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