昨年は3勝10敗と大きく負け越した福原。ちなみに故意四球の判定は、キャッチャーが立ちあがって“4球目”となるボールを投手が意識して投げた場合に出る

フィギュア採点問題で考えた、
プロ野球におけるカッコ悪さって?

田端到 = 文 ⇒この著者の記事一覧

text by Itaru Tabata

photograph by Takuya Sugiyama/Hideki Sugiyama

フィギュア採点問題で考えた、プロ野球におけるカッコ悪さって?

関連アスリート・チーム:

チーム・選手名
福原 忍
上原 浩治
岡田 彰布
秋山 幸二

「難易度の高いジャンプを成功させた浅田真央はもっと評価されるべきだ。完成度の高さを追求したキム・ヨナより点数が低いのはおかしい」

 バンクーバー五輪の女子フィギュアスケート、そんな意見が日本国中から沸き上がったのを見て、ついつい同意しつつも、微妙な違和感を感じてしまった。

 4年前のトリノ五輪では、スルツカヤやコーエンが難易度を追求して失敗。荒川静香は難易度より完成度の高さを重視して金メダルに輝き、その戦略が褒め称えられたというのに、今度は「完成度より難易度を評価するべき」の大合唱となった。

「勝つための戦略」を支持するのか、「高みをめざす志」を評価するのか。

 どちらが正解なのかは決められないが、観戦する側の立つ場所は定めておきたい。プロ野球においても、そんな選択を求められる場面は多数ある。そしてあくまで個人的な見解だが、「勝つための戦略」を追求するとプロ野球の場合、カッコ悪く見えることがよくある。

プロとしてこだわるべきは、勝利への執着か、面目か。

 たとえば昨年のパ・リーグ、クライマックスシリーズ第2ステージ、日本ハム対楽天戦。

 第1戦、緊迫した展開で試合は終盤。楽天の攻撃、2死二・三塁のチャンスで打席には首位打者・鉄平が入る。

 さあ、この場面で“打ち取る難易度の高い首位打者”と勝負するのか、それとも鉄平を歩かせて、アベレージの低い次打者の山崎武と勝負するという堅実策を取るのか。

 第2戦にはまったく逆の場面もあった。試合は1対1の同点のまま、終盤に突入。日本ハムの攻撃、2死二・三塁のチャンスで打席には稲葉篤紀が入る。マウンドには楽天のエース、岩隈久志。イナバジャンプに揺れるスタジアム。

 さあ、この場面でジャパンの4番も務めた左打者と勝負するのか、それとも稲葉を歩かせて、次の右打者・高橋信二と勝負するのか。

 判断の基準になるのは、勝負に対する価値観だ。

「プロなんだから、少しでも勝つ確率の高い戦術を選ぶべき」と考えるか。「プロは正々堂々と勝負するべき。目の前の難敵から逃げるような戦い方をファンは望んでない」と考えるのか。

 もっときつい言い方をすれば、「カッコ悪い戦術でもいいから勝ちにこだわる」のか、「勝つ確率は下がるかもしれないけど、誇らしく胸を張れる戦い方を選ぶ」のか。

<次ページに続く>

【次ページ】 安全策を選んだのに致命傷を負った日本ハムと楽天。

筆者プロフィール

田端到

1962年、新潟県生まれ。コラムニスト。競馬、野球の分野を中心に活躍し、著書に監督采配をデータから論じた「図解プロ野球 新・勝利の方程式」、「パーフェクト種牡馬辞典」など多数。ヤクルトスワローズ愛好家でもある。


Numberオリジナルグッズ作成

プロ野球ニュース

プロ野球ニュース一覧へ

759

創刊30周年記念
甲子園 涙の名勝負
神を見た夏。
7月29日発売 目次を見る
最新号表紙

スコアボード

フォトギャラリー

一覧へ
カシージャス、歓喜の絶叫 デヨングとシャビ・アロンソ
カシージャスとファンペルシ ロッベンの突破

文藝春秋の新刊紹介

表紙

県立コガネムシ高校野球部
永田 俊也・著

弱冠30歳の美人女性実業家が弱小高校野球部の部長に突然就任。手練手管でチームは決勝まで進む! かつてない異色青春野球小説

Amazon.co.jpで買う

表紙

昭和十七年の夏 幻の甲子園
戦時下の球児たち

早坂 隆・著

戦時下開催の甲子園大会の「謎」に迫るノンフィクション大作!

Amazon.co.jpで買う

表紙

アメリカン・スーパー・ダイエット
「成人の3分の2が太りすぎ!」という超大国の現実

柳田 由紀子・著

驚愕のデブカルチャーのサンクチュアリに切り込んだ現地ルポ

Amazon.co.jpで買う

表紙

中村俊輔オリジナルサッカーノート3冊セット

中村俊輔選手が「17歳の頃からずっとこんなノートが欲しかった」という、サッカーノート決定版がついに完成。

Amazon.co.jpで買う