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甲子園を沸かせる“プロ注”は誰だ。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2006/08/10 00:00

甲子園を沸かせる“プロ注”は誰だ。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 8月6日から始まる甲子園大会の組み合わせが決まった。プロ入りが注目される選手は誰なのか、第1日目から見ていこう。

◇第1日目……早稲田実の斉藤佑樹(投手)がセンバツ大会以降、球速を143キロから147キロに上げて俄然目の離せない存在になってきた。早大系列校なので即プロという進路は考えづらいが。

 第3試合で激突するのが大阪桐蔭高と横浜高。大阪桐蔭高には中田翔という怪物がいるが、彼はまだ2年生なので進路が話題になるのは来年。今年の候補なら謝敷正吾(二塁手)。ただ、タイミングの取り方に迷いがあり予選の成績は打率.269と芳しくない。

 横浜高には川角謙、西嶋一記の両左腕投手が候補。とくに川角はセンバツ大会以降145キロ超えを記録、技巧派のイメージを払拭しつつある。福田永将(捕手)、白井史弥(二塁手)の指名も予想され、横浜高は充実の夏を迎えているといってもいい。

◇第2日目……第1試合に登場する清峰高の主将、広滝航(二塁手)と第4試合に登場する開星高の核弾頭、梶谷隆幸(遊撃手)が候補。ただ、個人的には第3試合に登場する仙台育英高の2年生投手、佐藤由規の投球に期待している。東北高と延長15回引き分け(0対0)再試合の激闘を経て甲子園にやってきた2年生はどんなピッチングをするのか、今から楽しみである。

◇第3日目……第1試合の関西高対文星芸大付高には候補が揃っている。関西高にはダース・ローマシュ・匡が、文星芸大付高には藤本知宏というエース投手がデンと控えている。ダースは球は速いがアーム式(ヒジが出ない投法)、藤本はフォームはいいがボールの速さに課題を残す本格派右腕。ともに甘さを残しているが、その秘められた素質は半端ではない。

 第2試合に登場する今治西高の中軸、宇高幸治(遊撃手)は6月13日に行われたアメリカ選抜チームとの1戦でホームランを打ち、好素質を証明した。上背はないがきちんと引き手リードでバットコントロールできるところが非凡。遊撃守備も華麗だ。

 第4試合では八重山商工に注目したい。エースの大嶺祐太は150キロに迫る快速球とスライダーで三振の山を築く本格派右腕。センバツ大会で2本塁打を放った(横浜高・川角からも1本塁打)金城長靖ともども、大活躍が期待されている。

◇第4日目……第1試合の智弁和歌山高対県岐阜商が面白そうだ。智弁和歌山高には橋本良平(捕手)、松隈利道(投手だが打撃に注目)が伝統の強打線を牽引し、県岐阜商には1年時に甲子園を沸かせた武藤大将(一塁手)が2年ぶりの甲子園で初アーチを狙う。

 第4試合では超高校級スラッガー、愛工大名電高の堂上直倫(遊撃手)が登場する。遊撃守備はご愛敬だが、左右広角にホームランが狙える柔軟で力強いバッティングは天才という呼称に相応しい。

◇第5日目……第1試合に登場する三重高のエース、梅村学人が僕にとっては今大会最も楽しみな選手である。これまで見たいと思って見られなかった選手。ビデオでは逸材ぶりが証明されている。それを現場で、この目で確認したい。

 第3試合には駒大苫小牧高が姿を現す。堂上が野手の高校生ナンバーワンなら、田中将大は投手の高校生ナンバーワンである。昨年、2年生にして初めて甲子園球場で150キロのストレートを投げた豪腕。またそのスライダーは高校生では打てないとまで言われている。その真価を満天下で見せつけてもらいたい。

 第6日目、7日目では、甲府工の土橋正明が面白い。正捕手でありながらリリーフ投手も兼ねるというのは、滑川高で脚光を浴びた久保田智之(阪神)以来ではないか。久保田同様、捕手としての強肩、投手としてのストレートの威力によさがある。

 以上20人(3年生だけ)取り上げたが、甲子園大会はそれまで騒がれなかった選手が実力を急激に成長させる場所でもある。そういう選手が毎年、必ず10人以上は出現する。それを今回も楽しみにしたい。

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