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まだまだいるぞ、好投手。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2006/10/25 00:00

まだまだいるぞ、好投手。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 10月12日から18日までは、好投手に堪能した1週間だった。高校生ドラフト(9月25日)以降の17 日間では、大阪大会の植松優友(金光大阪高)、石田隆司(東海大仰星高)や東都大学リーグの高市俊(青山学院大)、大場翔太(東洋大)、糸数敬作(亜大)に魅了されたが、他の選手については高い評価ができなかった。しかし、この1週間は違う。

 木村雄太(東京ガス)、浅尾拓也(日本福祉大)、大田阿斗里(帝京高2年)、坪井俊樹(筑波大2年)、高市、大場、永井怜(東洋大)のストレートのキレや速さ、あるいは投球術の巧みさに夢中になった。とくに見惚れたのが浅尾と坪井の2人。

 14日の土曜日は午前中が中京大対名城大の愛知大学リーグ1部の試合(瑞穂球場)、午後が名古屋産業大対日本福祉大の2部リーグの試合(名商大グラウンド)という具合に場所を移しての観戦。1部リーグは期待していた深町亮介、杉本政紀、小椋健太(ともに中京大)の3人がベンチ入りすらしておらずガッカリ。名城大のエース・清水昭信は先発したが、3回までに7点を失いノックアウト。キューバで行われた世界大学野球選手権で使用されたボールが日本のものより若干重く、大隣憲司(近大)とともに清水が肩の不調を訴えたという話は聞いている。大学選手権当時の良さを取り戻すためにも、今は試合に投げるより静養に務めるべきだろう。

 気を取り直して向かったのが日本福祉大の試合。浅尾を初めて見たのが5月22日の名古屋学院大戦。そこで衝撃を受け、このコラムでも大きく取り上げたが、この日のピッチングはさらに前回を上回った。結果から先に言うと、ノーヒットノーランを達成したのだ。5月の第一印象よりピッチングのバランスがよく、変化球の種類、キレ、コントロールもよかったというのが見終ったあとの印象。バックネット裏の風景も前回とは大きく違った。1人もいなかったスカウトがこの日は多数訪れていたのだ。

 それにしても、春のシーズンで日本福祉大が2部リーグの5位に甘んじているというのが不思議な話。浅尾はすでにエースとして君臨し、150キロ近いストレートをびゅんびゅん投げていたのだ。野球は1人ではできないという定説が、浅尾の存在を見ているとようく理解できる。

 それから2日後、首都大学リーグの筑波大対城西大の試合を見た。1日3試合の強行スケジュールで、この試合は第3試合。それでも7時半過ぎまで見続けたのは坪井のピッチングがあまりにもよかったから。これも結果から先に言うと1安打ピッチング。その1安打も5番・山知浩のゴロが三塁前で大きく跳ねたイレギュラー安打。これがなかったら3日で2試合のノーヒットノーランを見ていたことになる。ああ残念。

 浅尾が150キロのボールを3球投げたのにくらべ、坪井のこの日の最速は143キロ。しかし、球持ちがいいので城西大の各打者はことごとく差し込まれていた。さらに変化球がいい。カーブは大きく縦に割れ、ブレーキの効き具合も天下一品。スライダーは打者寄りで鋭く変化し、フォークボールのキレ味も一級品。投球フォームがぎくしゃくしているが、イニングを追うごとに良さが見えてくる不思議な投手である。

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