イチロー メジャー戦記2001BACK NUMBER

Master E 言葉の壁。 

text by

木本大志

木本大志Taishi Kimoto

PROFILE

photograph byKoji Asakura

posted2001/06/13 00:00

Master E 言葉の壁。<Number Web> photograph by Koji Asakura

「アメリカで成功するためには、英語を覚えることは必然だと思います。そしてできるだけ早く英語をマスターすることが自分にとっては大切なことだと考えています。でも、学校などで英語を習うことは考えていません。クラブハウスなどでチームメイトと話すほうが、よっぽどためになると思うからです」。(Mariners Magazine Vol.12. Issue 2).

 “言葉の壁”について、イチローはそう話している。

 そのイチローの英語。渡米約5カ月を経て、どれぐらい上達したのだろう?

「英語に対する抵抗感は確実になくなってきているように思う。最近、チームにも、メジャーにもすっかりなれてきたなあ、と感じるけれど、その一つには、チームメイトらとのコミュニケーションがスムーズにとれるようになってきた、そんな要素があるからじゃないだろうか」。シアトル・タイムズのボブ・シャーウィンはそんなふうに見ている。

「イチローの英語の先生はライアン・フランクリンらしいよ」。ボブが教えてくれた。

 その足でライアン・フランクリンのロッカーに向かう。

「あまりいい先生といえるかどうか。教えているのはスラングばかりだから(笑)。クラブハウスで飛び交っている英語っていうのは、ほとんどがスラングだから、それを分かり易い英語に直して教えたりしてる。上達してるかって? もちろん。クラブハウスでみんなが何を話しているか、だいたいのことはわかるようになってきたんじゃないかなあ。例えば4月、イチロー、カズ、アレン(佐々木の通訳)と一緒にお寿司を食べに行って、さらにその後みんなでカラオケ屋にも行ったんだけど、アレンがいなかったら、会話にならなかった。基本的にはすべてアレンが間に入る。あの時と比較するなら、確実に上達してる」。

 シーズンが始まって間もない頃だったと思う。ローカル・メディアの数人から、「イチローは日本にいたときから口数が少なかったのか?」と聞かれたことがある。取材のもどかしさにジレンマを感じていたのだ。そんなときにはこう答えておいた。

「自分の伝えたいことを自由に伝えられないつらさというのは、経験しないとわからない。たとえ通訳がいたとしても、100%自分の思っていること、考えていることが伝わらないかも知れない。自分自身の言葉で自分の考えを伝えたい。本人こそが一番ジレンマを感じているのではないか」。

 これが正確にイチローの胸の内を代弁しているとは思えないが、これでほとんどのライターは納得してくれたから、少しは壁の役割を果たすことができたのだろうか。

 それにしても気になったのが、カラオケ屋の話。イチローはどんな歌を歌ったのか?

「歌わなかった」とライアン。

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