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400mリレーの伸びしろ。
~日本女子、世界陸上で決勝へ!?~ 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byKYODO

posted2011/06/16 06:00

400mリレーの伸びしろ。~日本女子、世界陸上で決勝へ!?~<Number Web> photograph by KYODO

ゴールデンGP川崎、女子400メートルリレーで43秒39の日本新記録をマークし万歳する北風沙織、高橋萌木子、福島千里、市川華菜(左から)

 今季の日本陸上界は、ところどころで、注目すべき記録が出ている。4月の織田記念、100mで立命館大学4年の小谷優介が10秒28(追い風1.2m)。日本にトップスプリンターがまた1人加わった形だ。5月になって、ゴールデンGP川崎では、やり投げで村上幸史が82m90。A標準の82mを3回連続して超える素晴らしい投てきを見せた。そしてテグ国際では、400mで金丸祐三が2年ぶりのA標準突破となる45秒23。6月14日時点では世界ランク16位のタイムだ。

 そして6月には10種競技で右代啓祐が日本人初の8000点突破となる8073点。世界への扉を開いた。

 しかし何と言っても、日本陸上界にとって今後の楽しみの大きい記録が出たのは女子の400mリレーである。ゴールデンGP川崎で2年ぶりの日本記録43秒39。これは今夏の世界選手権で、日本女子として史上初の決勝進出に、期待が高まるタイムだ。

 というのも前回、'09年世界選手権の決勝進出ラインは43秒34だった。今回の日本記録はほぼそれに匹敵するタイムだが、いくつかの理由で、夏にはさらに向上する可能性が高い。あくまで現実的に考えて、現在の日本女子には、まだまだタイムを伸ばす余力がある。その具体的な裏づけを見ていきたい。

軸になる2人、高橋と福島がベストではない中で出した日本記録。

 今回、日本記録を出したのは北風沙織―高橋萌木子―福島千里―市川華菜という4人。最初の3人は'09年5月に日本記録(43秒58)を出した時と同じだ。この3人に、今年急成長してきた中京大学3年の市川が加わって、ひと際若い日本女子チームで記録を出した。

 夏に今回以上のタイムが出せる理由の第一は、チームの軸というべき高橋と福島――現在の日本女子短距離を代表する2人が、5月はまだベストの状態ではなかったことだ。2人の100m今季最高は、高橋が11秒70(ゴールデンGP川崎)で、福島が11秒50(織田記念)。別表に示した通り、これはどちらも自己最高よりかなり遅いタイムである。つまり今回は、軸になる2人が本調子ではない中で出した日本記録だったのである。

●400mリレーで日本記録を出した4選手の今季100mの記録
  選手名
(所属)
年齢 今季最高
(風)
自己最高
(風)
1走 北風沙織
(北海道HTAC)
26 11秒65
(+2.0)
11秒42
(+1.7)
2走 高橋萌木子
(富士通)
22 11秒70
(-0.4)
11秒32
(+1.9)
3走 福島千里
(北海道HTAC)
22 11秒50
(-0.9)
11秒21
(+1.7)
4走 市川華菜
(中京大)
20 11秒43
(+2.0)
11秒43
(+2.0)
  46秒28 45秒38
400mリレー記録 43秒39 ――
※今季最高は5月19日時点

 4人の100m今季最高を合計すると46秒28になる。一方、4人の自己最高を合計すると45秒38。その差は0秒90もある。単純に考えれば、4人全員が自己最高タイムの走りでバトンをつなげば、あと0秒90は短縮できることになるが、現実には、リレーは第2走者以降、スターティングブロックを使ったクラウチングスタートではなく、立った状態から走り出すスタンディングスタートなので、個人で100mレースを走る時とは事情が違う。

 したがって「今季最高の合計タイム」から「自己最高の合計タイム」を引いた0秒90が、そのまま日本女子チームの伸びしろとは言えないが、個人的な走力の面で、まだ伸びしろがあることは確かだ。

【次ページ】 世界選手権、400mリレーで男女とも決勝進出の可能性。

イビチャ・オシムの「オシム問答」
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