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'05年度アマ注目選手徹底ガイド(3) 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2005/07/05 00:00

'05年度アマ注目選手徹底ガイド(3)<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 この回から評価をこれまでの3段階(A、B、C)から、5段階(AA、A、BA、B、C)にする。これによって没個性になりがちだった「B評価」の選手に対する見方が変わってくるはずである。

◆4/29 柏陵高対木更津総合高(千葉県大会・市原臨海球場) この回から評価をこれまでの3段階(A、B、C)から、5段階(AA、A、BA、B、C)にする。これによって没個性になりがちだった「B評価」の選手に対する見方が変わってくるはずである。

◆4/29 柏陵高対木更津総合高(千葉県大会・市原臨海球場)

BA 平野靖幸(木更津総合高・一塁手)

右右 180/83

 第1打席のレフトへ放った2ランホームランによさが凝縮されている。打球は火の出るようなライナー性で、レフト方向へきれいな形で引っ張れるというのが得難い長所。ファーストストライクから積極的に打って出る姿勢にも好感が持てる。課題は一塁守備。

◆4/29 銚子商対拓大紅陵高(千葉県大会・市原臨海球場)

遠藤晃(銚子商・投手)

右左 177/74

 最速145キロの快速球で評判になっている選手だ。この日のMAXは141キロ。線の細い体でヒジを柔らかく使うというピッチングが久保裕也(巨人)を思わせる。久保(沖学園高→東海大)同様、遠藤も大学ないしは社会人への道を進んだほうがその後の成長を加速させるような気がする。

◆4/30 日本体育大対城西大(首都大学リーグ・相模原球場)

津野祐貴(日本体育大1年・二塁手)

右左 183/75

 城西大(3年)のエース、古澤翔(右左・180/80)を見に来たが調子が悪く期待外れ。その穴を埋めてくれたのが津野である。ヒッチ癖は気に入らないが、柔らかくしなやかなスイングはオリックスで進境著しい後藤光尊(オリックス)を思わせるほど。俊足でも目立った存在で、守備に安定感が出てくれば3年後にはもっと騒がれているはずである。

◆5/5 宮崎日大高対柳ヶ浦高(練習試合・柳ヶ浦高グラウンド)

川西祐太郎(宮崎日大高・投手)

右右 177/72

 佐賀県鳥栖市で開催されている通称“鳥栖リーグ”を見て回り、この日は大分県柳ヶ浦にまで足を延ばして、山口俊(柳ヶ浦高・投手)の取材を兼ねた観戦となった。将来の主砲を予感させる宮崎日大高1年の楠本俊太一塁手(右右・184/81)、元西武・藤立次郎の甥っ子、柳ヶ浦高1年の藤立(右左・182/80)など、面白い野手はいたが、ここで取り上げるのは川西投手。MAX142キロと雑誌に紹介されているが、この投手の最大の勝負球はチェンジアップ。試合後、他の部員に「フォークボール凄いね」と言うと、「あれはチェンジアップなんです」と訂正された。強烈なブレーキで落差も十分。ストレートにもよさがあり、今後の成長が楽しみ。

◆5/7 関西大対関西学院大(関西大学リーグ・甲子園球場)

BA 岩田稔(関西大・投手)

左左 178/75

 この日のMAXは146キロ。ところが、数字ほど速く感じない。なぜかといえば、ストレートはほとんどが抜けたようなボール。評価したいのはむしろ変化球だ。カーブ、スライダー、フォークボールの3種類は実戦でも十分使える。
C 宮西尚生(関西学院大2年・投手)左左 178/73

C 清水 誉(関西学院大3年・捕手)右右 177/75

◆5/8 法大対立大(東京六大学リーグ・神宮球場)

BA 小林太志(立大・投手)

右右 182/76

 チームメイトの大川晋弘(右右・184/80)の評価が現在は高いが、彼に勝るとも劣らない本格派が小林である。この日のMAXは145キロ。縦割れのスライダー、130キロ台中盤の落ちるボールも強烈なキレ味で、ドラフトの大穴的存在と言ってもいい。

◆5/15 作新学院対日大高(関東大会・浦和球場)

BA 佐々木陽(作新学院2年・左翼手)

右右 180/70

 利き腕で強烈に押し込むバッティングは迫力満点。ヘッドが遅れて出るバッティングなので打球方向はセンターからライト方向が多く、こういう打ち方をする人は左手首を故障することが多い。長所も短所も含めて共通するのは近鉄時代に打点王を獲得したこともある石井浩郎。佐々木はその域まで達することができるだろうか。

 翌日の試合ではやはり作新学院の本格派、寺田哲也(右右・182/72)に注目した。スピードガンを持つ偵察隊がいなかったので数字はわからないが、推定で最速130キロ台後半は出ていたと思う。変化球はキレの鈍いカーブよりフォークボールらしき落ちるボールに威力を秘める。ピッチングの完成度が低いので評価はCどまりだが、数年後の素質開花に期待が持てる本格派である。

◆5/17 東京農大対国学院大(東都2部リーグ・神宮第二球場)

佐藤亮太(国学院大・投手)

左左 186/80

 ストレートは134、5キロというところだろう。その速くはないストレートを低めに丹念に集め、スライダー、シンカーという左右の変化球で打者を打ち取る技巧的ピッチングに持ち味がる。

 この佐藤をリードする3年生捕手、嶋基宏(右右・178/76)は強肩で鳴らす。イニング間の二塁送球タイムは次の通り。

 1.88→1.87→1.95→1.88→1.84→1.86→1.90

 盗塁を刺したときが2.15で物足りないので、イニング間の送球タイムを実戦でも再現できるかが今後の課題である。リードは外角球でカウントを整え、内角で勝負するパターン。さらに佐藤のテンポのよさを助ける早い返球にも捕手の適性を感じさせる。評価はBAである。

◆5/28 上宮太子高対京都成章高(近畿大会・舞洲球場)

BA 西原智根(京都成章高・投手)

右右 190/78

 3回までのストレートのMAXは138キロ。数字以上に見栄えがするが、体格の割に球質は軽く、打者近くで鋭く変化するスライダーのほうが今は魅力がある。不安定なコントロール、もたもたした一塁へのカバーなど、課題の多い未完の大器である。

◆5/29 社高対斑鳩高(近畿大会・舞洲球場)

大前佑輔(社高・投手)

左左 186/75

 独特なヒジ使いの柔らかさ、今中慎二(元中日)を彷彿とさせるキレと落差を備えたカーブなど、左腕ならではの魅力を存分に発揮した。ストレートは3回まで139キロとそこそこでも、アウトローに計ったように投げ込むコントロールのよさは超高校級。
宮田良祐(社高・遊撃手)

右左 182/68

 宮田も順調に成長している。遊撃守備は捕ってから投げるまでの形や流れが二岡智宏(巨人)に酷似。さらに普通のセンター前ヒットを二塁打にし、その直後に三盗を成功させる脚力も超高校級。バッティングは振り子時代のイチローを思わせる。

◆5/29 覆正社高対智辯和歌山高(近畿大会・舞洲球場)

AA 岡田貴弘(覆正社高・一塁手)

左左 186/93

 全打席でホームランの匂いを漂わせるスラッガーである。ゆったりとしたステップ、上からボールを叩くバッティングの形が李承ヨプ(ロッテ)によく似ている。この日は4打数1安打(1四球)で、皆が待ち望んだホームランはでなかったが、第2打席に電光石火のセンターライナーを放つと、スタンドの観衆は嬉しそうにドッと沸いた。第4打席のレフトへ流し打った二塁打は、「逆方向に強く打てる」岡田のよさを存分に発揮した一打である。
BA 平野靖幸(木更津総合高・一塁手)

右右 180/83

 第1打席のレフトへ放った2ランホームランによさが凝縮されている。打球は火の出るようなライナー性で、レフト方向へきれいな形で引っ張れるというのが得難い長所。ファーストストライクから積極的に打って出る姿勢にも好感が持てる。課題は一塁守備。

◆4/29 銚子商対拓大紅陵高(千葉県大会・市原臨海球場)

遠藤晃(銚子商・投手)

右左 177/74

 最速145キロの快速球で評判になっている選手だ。この日のMAXは141キロ。線の細い体でヒジを柔らかく使うというピッチングが久保裕也(巨人)を思わせる。久保(沖学園高→東海大)同様、遠藤も大学ないしは社会人への道を進んだほうがその後の成長を加速させるような気がする。

◆4/30 日本体育大対城西大(首都大学リーグ・相模原球場)

津野祐貴(日本体育大1年・二塁手)

右左 183/75

 城西大(3年)のエース、古澤翔(右左・180/80)を見に来たが調子が悪く期待外れ。その穴を埋めてくれたのが津野である。ヒッチ癖は気に入らないが、柔らかくしなやかなスイングはオリックスで進境著しい後藤光尊(オリックス)を思わせるほど。俊足でも目立った存在で、守備に安定感が出てくれば3年後にはもっと騒がれているはずである。

◆5/5 宮崎日大高対柳ヶ浦高(練習試合・柳ヶ浦高グラウンド)

川西祐太郎(宮崎日大高・投手)

右右 177/72

 佐賀県鳥栖市で開催されている通称“鳥栖リーグ”を見て回り、この日は大分県柳ヶ浦にまで足を延ばして、山口俊(柳ヶ浦高・投手)の取材を兼ねた観戦となった。将来の主砲を予感させる宮崎日大高1年の楠本俊太一塁手(右右・184/81)、元西武・藤立次郎の甥っ子、柳ヶ浦高1年の藤立(右左・182/80)など、面白い野手はいたが、ここで取り上げるのは川西投手。MAX142キロと雑誌に紹介されているが、この投手の最大の勝負球はチェンジアップ。試合後、他の部員に「フォークボール凄いね」と言うと、「あれはチェンジアップなんです」と訂正された。強烈なブレーキで落差も十分。ストレートにもよさがあり、今後の成長が楽しみ。

◆5/7 関西大対関西学院大(関西大学リーグ・甲子園球場)

BA 岩田稔(関西大・投手)

左左 178/75

 この日のMAXは146キロ。ところが、数字ほど速く感じない。なぜかといえば、ストレートはほとんどが抜けたようなボール。評価したいのはむしろ変化球だ。カーブ、スライダー、フォークボールの3種類は実戦でも十分使える。
C 宮西尚生(関西学院大2年・投手)左左 178/73

C 清水 誉(関西学院大3年・捕手)右右 177/75

◆5/8 法大対立大(東京六大学リーグ・神宮球場)

BA 小林太志(立大・投手)

右右 182/76

 チームメイトの大川晋弘(右右・184/80)の評価が現在は高いが、彼に勝るとも劣らない本格派が小林である。この日のMAXは145キロ。縦割れのスライダー、130キロ台中盤の落ちるボールも強烈なキレ味で、ドラフトの大穴的存在と言ってもいい。

◆5/15 作新学院対日大高(関東大会・浦和球場)

BA 佐々木陽(作新学院2年・左翼手)

右右 180/70

 利き腕で強烈に押し込むバッティングは迫力満点。ヘッドが遅れて出るバッティングなので打球方向はセンターからライト方向が多く、こういう打ち方をする人は左手首を故障することが多い。長所も短所も含めて共通するのは近鉄時代に打点王を獲得したこともある石井浩郎。佐々木はその域まで達することができるだろうか。

 翌日の試合ではやはり作新学院の本格派、寺田哲也(右右・182/72)に注目した。スピードガンを持つ偵察隊がいなかったので数字はわからないが、推定で最速130キロ台後半は出ていたと思う。変化球はキレの鈍いカーブよりフォークボールらしき落ちるボールに威力を秘める。ピッチングの完成度が低いので評価はCどまりだが、数年後の素質開花に期待が持てる本格派である。

◆5/17 東京農大対国学院大(東都2部リーグ・神宮第二球場)

佐藤亮太(国学院大・投手)

左左 186/80

 ストレートは134、5キロというところだろう。その速くはないストレートを低めに丹念に集め、スライダー、シンカーという左右の変化球で打者を打ち取る技巧的ピッチングに持ち味がる。

 この佐藤をリードする3年生捕手、嶋基宏(右右・178/76)は強肩で鳴らす。イニング間の二塁送球タイムは次の通り。

 1.88→1.87→1.95→1.88→1.84→1.86→1.90

 盗塁を刺したときが2.15で物足りないので、イニング間の送球タイムを実戦でも再現できるかが今後の課題である。リードは外角球でカウントを整え、内角で勝負するパターン。さらに佐藤のテンポのよさを助ける早い返球にも捕手の適性を感じさせる。評価はBAである。

◆5/28 上宮太子高対京都成章高(近畿大会・舞洲球場)

BA 西原智根(京都成章高・投手)

右右 190/78

 3回までのストレートのMAXは138キロ。数字以上に見栄えがするが、体格の割に球質は軽く、打者近くで鋭く変化するスライダーのほうが今は魅力がある。不安定なコントロール、もたもたした一塁へのカバーなど、課題の多い未完の大器である。

◆5/29 社高対斑鳩高(近畿大会・舞洲球場)

大前佑輔(社高・投手)

左左 186/75

 独特なヒジ使いの柔らかさ、今中慎二(元中日)を彷彿とさせるキレと落差を備えたカーブなど、左腕ならではの魅力を存分に発揮した。ストレートは3回まで139キロとそこそこでも、アウトローに計ったように投げ込むコントロールのよさは超高校級。
宮田良祐(社高・遊撃手)

右左 182/68

 宮田も順調に成長している。遊撃守備は捕ってから投げるまでの形や流れが二岡智宏(巨人)に酷似。さらに普通のセンター前ヒットを二塁打にし、その直後に三盗を成功させる脚力も超高校級。バッティングは振り子時代のイチローを思わせる。

◆5/29 覆正社高対智辯和歌山高(近畿大会・舞洲球場)

AA 岡田貴弘(覆正社高・一塁手)

左左 186/93

 全打席でホームランの匂いを漂わせるスラッガーである。ゆったりとしたステップ、上からボールを叩くバッティングの形が李承ヨプ(ロッテ)によく似ている。この日は4打数1安打(1四球)で、皆が待ち望んだホームランはでなかったが、第2打席に電光石火のセンターライナーを放つと、スタンドの観衆は嬉しそうにドッと沸いた。第4打席のレフトへ流し打った二塁打は、「逆方向に強く打てる」岡田のよさを存分に発揮した一打である。

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