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大学No.1を懸けた意地の投げ合い 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2006/05/09 00:00

大学No.1を懸けた意地の投げ合い<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 4月29日から5月7日までのゴールデンウィークは例年通り、アマチュア野球観戦のため飛び回った。今年のGWの観戦日程は、次の通りだ。

4/30羽生一高対立教新座高(埼玉大会・県大宮球場)
朝霞高対埼玉栄高
5/1国学院大対大正大(東都2部リーグ・神宮第二球場)
東京農大対国士舘大
5/3横芝敬愛高対東海大浦安(千葉大会・県千葉球場)
銚子商対成田高
東洋大対亜大(東都大学リーグ/ナイター・神宮球場)
5/4静岡市立高対静岡学園(静岡大会・草薙球場)
三島高対島田商
5/5近大対立命大(関西大学リーグ・スカイマークS)
関西学院大対同志社大
5/6県立工業対金沢桜丘高(石川大会・県野球場)
金沢高対金沢西高
5/7大阪大会観戦予定・降雨中止

 このGW観戦は一言でいうと「好投手行脚」だった。鶴岡直樹(横芝敬愛高)、大場翔太(東洋大・謎の0回3分の1降板)、永井怜(東洋大)、仁藤拓馬(島田商)、大隣憲司(近大)、金刃憲人(立命大)という顔ぶれ。皆、ストレートの速さ、強さに特徴があり、魅了された。北篤(小松工)、山田弘喜(城東工)、中田翔(大阪桐蔭高)まで見ようという欲深い願いは雨や敗退で達成されなかったが、これだけ見ることができれば大満足。とくに、仁藤は初めて見たので新鮮な喜びがあった。三島戦でのMAXは144キロ。自己最速は145キロとロッテスカウトの井辺康二さんが教えてくれた。これらの数字だけで仁藤がどれほどのものかわかる。

 圧巻だったのは近大対立命大。もちろん、大隣と金刃という大学球界を代表する両左腕の投げ合いである。試合後のインタビューでは記者、スポーツライター、テレビクルーが大隣に殺到するという大騒動ぶり。ちなみに、スカイマークスタジアムのスピードガンは、大隣が152キロ、金刃は150キロを表示した。大隣は取材で、「5キロくらい速いですね」と言って笑いを誘った。それは事実だが、スカイマークスタジアムのスピードガンが誤作動するほど2人のスピード、球威、技術の高さは見ごたえがあった。

 勝負は5回に中塚浩太の3点三塁打、6回に尾崎健太郎の2点本塁打が出て立命大が6対1で完勝した。それでも大隣の価値が下がるわけではなく、翌日の2回戦は2失点完投勝利で、リリーフの金刃を粉砕した。

 僕にとって2人の投げ合いを見たのは昨年5月7日以来。大隣のよさは昨年の大学選手権などでも見ているが、金刃が見違えるほどよくなっていたのにはびっくりした。奈良在住の俊英スポーツライター、氏原英明でさえ「今年、金刃を見るのは4回目ですが、こんなにいいのは初めて見ました」と語っているのだから、その変身ぶりは推して知るべし。全国の舞台は近大・大隣の壁が高く・厚くて難関だが、是非一度、神宮のマウンドに立たせたい。

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