ジーコ・ジャパン ドイツへの道BACK NUMBER

2006年 ドイツW杯 グループF VS.クロアチア 

text by

木ノ原句望

木ノ原句望Kumi Kinohara

PROFILE

photograph byNaoya Sanuki

posted2006/06/20 00:00

2006年 ドイツW杯 グループF VS.クロアチア<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 初戦に比べて、選手の積極的なプレーもベンチの采配もあった。だが、またもや、欲しかったゴールはなかった。

 初戦のオーストラリアに3−1で敗れて、勝ち点3が必要な日本だったが、6月18日にニュルンベルグで行われたワールドカップ(W杯)第2戦で、クロアチアとスコアレスドローで引分けた。

 この結果、ブラジルとの1試合を残して日本は現在1分1敗でF組最下位。決勝トーナメント進出の可能性はかなり厳しくなった。

 「ゴール前に行くまでは正しいことをやっている。だがフィニッシュが正しくない」。

 試合後に得点力不足を問われた日本代表ジーコ監督は、そう答えた。

 指揮官の言うように、得点チャンスは何回かあった。前半30分のMF小笠原や同37分のMF中田英寿、直後のDF三都主など、積極的なミドルシュートもあった。練習どおりだった。

 さらに、後半6分にはDF加地の鮮やかなワンツーからパスを受けたFW柳沢の決定的なシュートチャンスもあった。だが、柳沢のシュートは大きく右ポスト外へ流れていった。

 「練習は毎日しているのに、本番で結果を出せない。平常心を保てなくなるのが悲しい」と話す、3度のW杯プレー経験を持つ指揮官ジーコは、本当に残念そうだった。

 日本選手はオーストラリア戦から4−4−2にシステムを変えて臨んだ。立ち上がり早々に、不用意にボールを取られて失点する危険を避けようと、積極的な姿勢を保ちながら注意深く試合をスタートした。

 だが、2トップが前線でボールキープができず、日本はなんども相手の逆襲をくらう。一方のクロアチアは、あまり手数をかけずに、シュートまで持ってくる。縦に速い。相手の勢いに押されてか、あまりやりなれていないシステムに戸惑いがあるのか、1対1でもゴリゴリと押し込んでくるような相手に、ファウルで止めるようなシーンが増えた。

 PKの場面はそういう時間帯に起きた。前半21分、ペナルティボックスの右へドリブルで進入してきたプルソにCB宮本がかわされそうになり、相手を倒してしまった。GK川口が見事なセービングでこれを防ぎ、試合の流れが日本へ引き寄せられたように見えた。

 ジーコ監督も積極的に動いた。

 前半でMFニコ・クラニチャールへのマークが不十分だと感じると、後半スタートからMF福西に代えてMF稲本を投入。その後も62分には前線でのボールキープ力を補おうと、FW柳沢に代えてFW玉田を起用。最後は、86分にFW高原に代えてFW大黒を送り込んで得点機を捜した。だが、最後まで、日本がゴールネットを揺らすシーンは訪れなかった。

 積極的なベンチワークではあったが、柳沢の交代はもう少し早くできたのではないか。炎天下での連戦の疲労が抜けていないのか、前線でのボールの失い方や、動きの少なさ、シュートの外し方を見ていれば、トップコンディションにないことは十分感じられた。フレッシュなFW巻や大黒を先発起用することも出来たのではないか。

 それにしても、決定力のなさは技術の問題なのか。ジーコのいうように平常心を保てない、ここぞというところで粘れない、精神面の問題なのか。それともフィジカル面なのか。

 「2度も午後3時キックオフの試合で、どんなにフィットネスコンディションを整えていても、この暑さに選手がやられてしまう」と、日本代表監督は嘆いた。

 だが、シュート練習でもゴールの枠を捉えることが少ない選手が、よりプレッシャーのかかる試合で決めることができるだろうか。

 「質の高い選手が揃っているし、選手は何をすべきか分かっている。ゴールができないならやり続けるしかない。良くなろうと努力するしかない」と監督は言う。

 だが、22日のブラジル戦(ドルトムント)まで準備期間は4日しかない。

 連戦の疲労も考慮して、1、2戦からのメンバーの変更も考えられる。DF宮本は警告の累積により出場停止になる。

 ブラジルは18日にオーストラリアに2−0で勝ち、決勝トーナメント進出を決めた。その世界王者ブラジルに、日本は最低でも2点差をつけて勝たなくてはならない。その上で、クロアチアとオーストラリアに引き分けること、あるいはクロアチアがオーストラリアに日本より少ない点差で勝つことを祈るしかない。2試合で1得点の日本には、かなり厳しい条件だ。

 ジーコ監督は言った。「日本の状況は最悪だ。だがまだ生きている。可能性がある限り、勝つためにプレーする。今日戦えた選手は絶対にやってくれると信じている」。

ページトップ