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オランダ代表、ファン・バステン新監督の評判。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byEnrico Calderoni/AFLO SPORT

posted2004/08/18 00:00

オランダ代表、ファン・バステン新監督の評判。<Number Web> photograph by Enrico Calderoni/AFLO SPORT

 8月2日、マルコ・ファン・バステンが、オランダ代表の新監督に就任することが発表された。契約期間は4年で、2006年W杯(ドイツ)だけでなく、2008年EURO(オーストリア・スイス共催)までをも視野に入れた契約だ。これまでファン・バステンは、アヤックス・ユースのコーチを担当。そのユースの監督をしていたジョン・ファント・シッフが、代表のコーチになることも決まった。ふたりは監督とコーチという立場が、ちょうど逆転したことになる。ファン・バステンは就任会見で「オランダらしい攻撃サッカーを目指す」と公言しており、彼自身が1988年に選手として果たしたEURO優勝以来のタイトルを目指す。

 そもそもファン・バステンが監督の候補にあがったのは、ヨハン・クライフが「もしマルコが監督になるのなら、私がテクニカル・ディレクターになってもいい」と言うほどまでに、サッカー協会にファン・バステンを推薦したからだった。オランダ・サッカー協会のケスラー会長はクライフの意向を受け、ファン・バステンとファント・シッフを、クライフの住むバルセロナにすぐに呼び寄せた。そして、ふたりはクライフの推薦を快く引き受けたのだった。

 しかし、ファン・バステンも、彼をサポートするファント・シッフも、プロ・クラブでの監督経験はまだない。いったいオランダでは、ファン・バステン新監督をどう評価しているのだろうか?

 大きな期待を寄せているのが、1988年にEUROで優勝したときの代表のチームメイトであるグーリット(現フェイエノールト監督)だ。

「選手として大舞台で成功を収めたことは、監督になったときに大きなアドバンテージになる。試合のときに、選手が何を考え、何を望んでいるかが、自分の経験からわかるからだ」

 一方、オランダ代表の前監督であるアドフォカートは、経験のないファン・バステンに懐疑的だ。

「いくらファン・バステンが選手として偉大でも、監督としては勉強中の身。監督になった今、彼は選手時代のように、クレイジーな振る舞いをすることは許されない。彼が経験もなしに、どう指揮を取るか見物だ」

 疑いを持っているのは、専門家だけではない。選手の中にも、ファン・バステンに対して不穏な動きがある。オランダのテレグラフ紙によると、ACミランのセードルフがオランダ・サッカー協会に、「私を含めて7人の代表選手が、PSVのヒディンク監督が、代表の監督になることを望んでいる」と伝えたというのだ。ヒディンクは1995年から1998年までオランダ代表を率いて、1998年W杯ではチームを準決勝まで導いた。選手から大きな信頼を得ている。ファン・バステンは就任前から、チームに火種を持って試合に臨まなければいけない。

 代表から話はそれるが、8月のオランダ・スーパーカップの試合で、途中出場したアヤックスのスナイデルが、ゴールを決めた後にベンチにいるクーマン監督に、中指を立てて「ファック・ユー」と叫ぶ事件があった。スナイデルは先発から外されて怒っていたというのが真相だが、相変わらずオランダ代表の選手には“反抗病”が蔓延している。

 カリスマ性はあるが、経験はない。まだ実績がないから、マスコミのバックアップもない。ファン・バステンが火中の栗を拾ったことは間違いない。

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