北京五輪的日報BACK NUMBER
競泳と柔道、対照的な日本選手団。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTakaomi Matsubara
posted2008/08/08 00:00
開会式が近づき、選手の会見ラッシュとなった7日。その中で選手村のメディアセンターで行なわれた競泳と、市内のホテルに設けられたイベントブース「ジャパンハウス」での柔道の会見に顔を出した。
競泳は北島康介、柴田亜衣をはじめ選手6名と上野広治監督。柔道はすでに北京入りしている谷亮子、塚田真希ら10名と吉村和郎強化委員長、そして男女の監督を務める斉藤仁氏と日蔭暢年氏が出席した。
会見は対照的なところを感じさせた。
一見すると、柔道の場では質問への返答にジョークを交えたり楽しい雰囲気が醸し出され、リラックスしているように見えた。だが選手の表情に目を凝らし、発言にじっくり耳を傾けると実は正反対のように思えた。悲壮感の漂う選手が目立ったのだ。
初出場の60kg級、平岡拓晃は目に見えて重苦しい緊張に包まれていたし、上野雅恵、谷本歩実のアテネ金メダリストたちの表情もどこか精彩がなかった。それでも谷亮子が普段どおりであったのはさすがだったが……。
一方、競泳の選手たちには、やるべきことはやった、という落ち着きが漂っていた。北島の「五輪はいろいろ楽しみな大会だし、(100mの)ハンセンとの対決が楽しみです」という言葉にも一切の気負いは感じられなかったし、柴田や種田、中西、松田にも浮わついた雰囲気はなかった。
だから上野監督の最後の発言も素直に頷けた。
「選手の仕上がりは100%だと思います。水着問題などいろいろありましたが、かえってチームの結束はできました。結果が悪くても、いっさい言い訳はしません」
会見の印象がそのまま成績に直結するとは言えない。だがあさって9日から試合が始まる二つの競技の対照的なムードは気になるところだ。