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<Wインタビュー> 山崎武司&鉄平が明かす、大躍進の秘密。 ~特集 『楽天旋風2009』~ 

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

PROFILE

photograph byKenta Yoshizawa

posted2009/11/18 10:30

今年の快進撃は、この2人のバットマン抜きには語れない。
性格同様、豪快で明るい打棒は未だ健在。パ・リーグ2位の39本塁打を放った、根性の大砲。冷静かつ緻密なバッティングで安打を量産、初めて首位打者に輝いた27歳のヒットメーカー。
対照的なキャラクターの両者が肌で感じたチームの変化とは。

 寡黙な3番、鉄平。

 豪放な4番、山崎。

 これだけキャラクターの違う打者が中軸に座る楽天の試合を見るのは楽しかった。何から何までアプローチの仕方が違う。

 今季は39本の本塁打を放った山崎は、一か八かヤマを張って一発を狙っていく。

 対する鉄平は、カウントによって球種を絞り込みながらも、幅広い球種に対応しようとする。

 打撃へのアプローチがまったく違うのである。漢字で表すなら鉄平は寒、山崎は暖、色がはっきりしてきたところに楽天が戦う集団として成長してきた軌跡がうかがえる。

 しかしもちろん共通点もあって、二人とも状況判断をしていく上での根拠を重視する姿勢に変わりはない。プレーをする上での「根っこ」のようなものと言ったらいいだろうか。一人ひとりの選手が根を張り、それが地面の下で絡まって強固な土台が作られた……。それが今年の楽天のイメージだ。

野村監督の『考える野球』が選手に浸透した。

 2005年、寄せ集め集団からスタートしたチームは、今季どんな成長過程をたどってきたのか。当時、オリックスを解雇され、初年度から楽天のユニフォームを着てきた山崎は、その変化をビビッドに感じ取ってきた。

「チームとして、根本的に力がついたというのは間違いなくあります。それが具体的にどう表れてくるかというと、『言葉』なんです。1年目、2年目はただ負けて、明日も頑張ろう、ただそれだけ。何も考えてない。考える材料もなかったからね。今年は試合が終わった時の反省なり、具体的な場面でどう動けば良かったのか、的確に自分たちで分かるようになってきた。これは野村監督の『考える野球』が選手に浸透して、個々のレベルが上がってきたということでしょう」

総得点598、総失点609。負けながら勝った楽天。

写真

【 山崎武司 】
'87年ドラフト2位で中日に入団。'03年オリックスへ移籍するも、'05年戦力外通告を受け、楽天へ移籍。'07年には本塁打43本、108打点で2冠王に輝く

 今季の楽天で興味深いのは、総得点が598点で総失点609という数字だ。総失点が総得点を11点も上回っているにもかかわらず、最終的には貯金を11個作ってレギュラーシーズンを終えた。負けながら勝っている。不思議な現象である。

 その中身をひも解いていくと、大敗は前半戦に多かった。特に交流戦では9勝15敗と負け越して失速。ところがオールスター以降はビッグイニングを作り逆転勝ちする試合が目立った。これまでの楽天には見られなかった勝ちパターンである。

「ウチの本拠地は屋外だし広いし、なかなかホームランが出ない。それなのにビッグイニングを作れるというのは、打線のつながりなんですね。じゃあ、つながりはどうやったら生まれるかというと、選手それぞれの役割分担がしっかり出来ているということです。状況に応じて自分がどんな打撃をすればいいのか理解してきたのが大きいでしょう」

<次ページへ続く>

► 【次ページ】 熾烈なレギュラー争いが選手の能力を引き上げた。

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