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日本代表の名脇役、
小笠原の陰の努力。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNaoya Sanuki

posted2006/04/06 00:00

日本代表の名脇役、小笠原の陰の努力。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 日本ハムからただ一人、WBCに出場していた小笠原道大は、日本代表のユニフォームを着たとき、一回り大きくなる。

 今回も、松中信彦(ソフトバンク)やイチロー(マリナーズ)など、所属球団を超えた選手たちと戦い、刺激を受けた。松中は小笠原に「体はいじめられる時にいじめておかないと、35歳を過ぎてから苦労する」と言い、イチローは「何ごとも当たり前のことを当たり前にやればいい」と、他人の意見を聞きすぎず、自分に合った調整をすることを説いた。

 メジャーリーガーの真剣さに感じ入ったこともあった。小笠原が日米野球に選ばれ始めたころ、日ハムから一緒に選ばれた下柳剛(現阪神)らと一緒に、アメリカ代表の選手たちと食事に出かけた。その席で、何を行うにしても自らのトレーニングメニューから逆算して決めるという、野球に対する厳しい姿勢を学んだ。

 今回のWBCで、そのアメリカと対戦したのは2次リーグ。接戦の末に、審判の誤審というアクシデントにも見舞われて、3―4の敗戦だったが、メッツでメジャー挑戦中の元同僚、入来祐作からは、「カッコよかったぞ。勝ったも同然だから胸を張れ」とメールが来た。日本のファンからも励ましのメールがたくさん届いたという。自分たちが日の丸を背負って戦っている重みを改めて感じた試合だった。

 WBCでの小笠原の通算成績は、26打数6安打の打率2割3分1厘と、今ひとつ振るわなかった。打ち込みによって調子を上げていくタイプの小笠原にとって、この時期では、まだまだ本調子には達しなかったのかもしれない。

 だが、早めに球場入りし、ベンチ裏に備え付けられているマシンを借り、黙々とバットを振る姿は何度も見られた。

 「注目を浴びることをやってきた以上、それに答えるだけの義務がある」

 小笠原は、世界を相手に「フルスイング、フル出場」という目標を貫き通したことについて、数字以上に自慢ができる、と胸を張ってみせた。

 今季は巻き返しにかけている。昨シーズン、5年間続けた打率3割を切ってしまったからだ。日本に帰国してからは、連日の特打ちで、体のキレを最高の状態に戻してから、開幕に備えるという。

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