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12球団随一の名コーチは
横浜を再建できるか。
~試される尾花新監督の手腕~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byHideki Sugiyama

posted2009/11/19 06:00

12球団随一の名コーチは横浜を再建できるか。~試される尾花新監督の手腕~<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

'05年に4.80だった巨人投手陣の防御率は尾花の手腕により'09年には2.94に改善された

 12球団の中でチーム作りの明確な指針が最も見えてこない、といわれる横浜ベイスターズ。その横浜の次期監督に内定したのが、横浜市に住んではいるものの、これまで縁が薄かった現巨人投手総合コーチの尾花高夫である。白羽の矢が尾花に立ったのは、一にも二にも投手陣を再建できる人物、という理由からだろう。巨人が日本シリーズ進出を果したため正式発表は先延ばしにされたが、シリーズ前には組閣を終え、11月に入ってようやく投手コーチとして野村弘樹、岡本克道のふたりも決まった。

尾花理論で、弱体化した横浜投手陣は蘇るか?

 これまで尾花は多くの名指導者の下でコーチを務めてきた。ヤクルト時代には野村克也、ロッテ時代は広岡達朗GM、ダイエー時代は王貞治、巨人時代には原辰徳。彼らの人間性や野球理論を学び、今や、12球団随一の投手コーチと言われるほどである。今季は巨人のチーム防御率を2点台にすると公言し、その言葉通り、2.94にまで向上させた。下位低迷の一番の原因である弱体化した横浜投手陣を立て直すには、尾花はうってつけの人材であることは間違いない。

 巨人の投手総合コーチとして、ファームの試合もこまめに視察しており、横浜の若手にも詳しい。潜在能力を買われながら、5年間伸び悩んでいた那須野巧(現ロッテ)を見て「結果が出ていないのに、同じ投げ方をしては進歩がない。横投げに変えてはどうだ」と言い、イースタンでは最多勝に輝いたものの一軍では未勝利の藤江均について「一球、一球、考えて投げていない」と指摘していた。横浜の投手陣については「他球団と遜色はない。やり方によってはおもしろくなるはず」と語っているだけに、チーム再建に一筋の光が差し込みそうである。

巨人やダイエー時代と同じようにはいかないという声も……。

 先発候補には今季11勝を挙げた三浦大輔、ダイエー時代の教え子である寺原隼人、ロッテから移籍した清水直行、途中加入のランドルフがいる。若手には藤江のほか桑原謙太朗、小林太志ら鍛えがいのある選手が揃っている。尾花理論によって、どう結果が残せるか。

 一方で、ダイエー、巨人のような質の高い投手陣には尾花の考えが浸透しても、すっかり弱体化してしまった今の横浜に伝わるのか、という疑念の声が上がっているのも事実。まずはこの雑音を消すことが、尾花新監督の最初の腕の見せ所になりそうだ。

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