石川遼の活躍と人気に少し隠れてしまったが、気になる選手がいる。
池田勇太、23歳。いまどきの20代前半の若者と違うのは、まずファッションである。ズボンは3タック。ジュニア時代はジャンボ尾崎に憧れていたというが、まさに当時のファッションを彷彿とさせる。
日本ジュニア2連覇('02年・'03年)や日本オープンのローアマチュア、世界ジュニア優勝などで、ジュニア時代から注目されていた。東北福祉大学に進学し、'05年の日本学生ゴルフ選手権でも優勝。
石川遼が、繊細で優等生、言葉も洗練されているのに対して、池田はむしろ無骨であり、強気、記者たちのコメントにも、タメ口で答える。それでいて嫌われ者にならないのは、本来は、礼儀正しく真面目という素顔があるからだろう。
7月の全英オープンで、96位と予選落ちをしたときでも「舞台慣れしていないだけで、自分のゴルフが通用することがわかった」と言ってはばからない。
石川遼を追い落とした、いぶし銀のショット。
決して飛ばし屋ではない。でも、彼の素晴らしいところは、ゲームマネージメントの巧さとショットバリエーションの豊富さである。石川が、ドライバーをアドバンテージとしてゴルフを組み立てていくタイプだとすれば、池田は、青木功やホセ・オラサバルのように、状況に応じてショットの技を駆使して、スコアをまとめていく職人的なタイプである。
8月下旬、福岡・芥屋ゴルフ倶楽部で開催された『VanaH杯KBCオーガスタ』では、最終日に単独首位でスタートした石川遼を猛追し、最後は63のスコアで1打追いこして、今野康晴とプレーオフの末、逆転優勝を遂げた。
「勝てたねって感じ。いけるもへったくれも、いつの間にか優勝争いをしてたよ」
礼節をわきまえ、義理堅い。昔かたぎな一面も。
そんな池田が、契約メーカーのメディアデーに「家の近くだから、来させて頂きました」といって、懇親会に顔を出したことがある。そのときの挨拶は、きちんとしていた。
ふと思い出すのは、中村寅吉、青木功、ジャンボ尾崎……そう、レトロな日本の無骨なプロゴルファーの顔である。
「勇太の知名度も上がっています。ここまで強くなりましたし、3タック=勇タックでしょう」と本人は言うが、こちらに言わせればレトロ池田というところか。
■関連コラム► プロ初優勝に見た“石川時代”の萌芽。 (2008年11月20日)
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