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ベテランがつかんだビーチの五輪切符。 

text by

宮崎恵理

宮崎恵理Eri Miyazaki

PROFILE

photograph byRyu Makino

posted2008/08/07 00:00

 7月18日、フランス・マルセイユで開催されていたビーチバレーのワールドツアーで、日本男子の朝日健太郎(CHINTAI)・白鳥勝浩(湘南ベルマーレ)組と、女子の佐伯美香(ダイキ)・楠原千秋(湘南ベルマーレ)組がともに北京オリンピック出場を決めた。ビーチバレーの女子は、佐伯が'00年シドニーで高橋有紀子と組んで4位入賞、楠原は徳野涼子(佐伯・楠原チームの現監督)とともに'04年アテネに出場しているが、男子のオリンピック出場は、'96年のアトランタ以来、12年ぶりとなる。

 ビーチバレーの五輪予選は長丁場だ。'07年1月1日から今大会まで2シーズンにわたるワールドツアーを戦い、結果を残した上位8試合のポイント合計によって最終24組の出場が決定する。ブラジルやアメリカが圧倒的な強さを誇っていた4年前とは異なり、1カ国2チームの出場権をめぐりヨーロッパ各国がせめぎあう状況では、ちょっと油断すれば五輪予選ランキングはひっくり返ってしまう。佐伯・楠原組はマルセイユ大会で9位、朝日・白鳥組は13位に入り、五輪予選ランキング24位以内を確定させたのだった。

 佐伯、朝日はかつて6人制の全日本選手として活躍し人気を誇っていた。佐伯は'96年のアトランタオリンピックには6人制で出場し、'97年にビーチに転向した。シドニーオリンピック後いったんは引退したが、結婚・出産を経て'02年に復帰した。「シドニーでは自分のために、今は家族のために」オリンピックでの活躍を目指してきた。

 一方、朝日は6人制でオリンピック出場権を逃したシドニー世界最終予選の後、'02年にビーチに転向した。

 ビーチバレーでは、2人のうち身長の低い方にサーブが集中しがちだ。それは長身の、より攻撃力のある選手にスパイクを打たせないための定石である。にもかかわらず、昨シーズンまでは身長191cmの白鳥ではなく199cmの朝日が常にサーブで狙われていた。まずはサーブで崩す。その戦略として、レシーブ力で白鳥に劣る朝日がマークされていたのだ。だが、今季、白鳥がサーブで狙われる場面が急激に増えてきた。それは、サーブレシーブを含め朝日のプレーのオールラウンド性が上がってきたことを物語っている。

 ビーチ転向後、朝日は刻々と変わる気象条件や砂に泣かされながらも、「オリンピックに出場するために」と、ビーチバレー選手としてのパフォーマンスに磨きをかけてきた。それが、北京に向けて実を結んできたのだ。

 佐伯、朝日とペアを組む楠原、白鳥は、それぞれ東京学芸大、東海大を卒業後、そのままビーチバレー選手として活躍している生粋のビーチ育ちである。白鳥は、'02年のアジア大会で優勝。6人制とビーチのそれぞれのプレー経験をミックスさせることで、現在のペアとしての完成度を高めてきたのだろう。

 マルセイユは、朝日・白鳥組にとっては幸運の地だ。昨年、当地で開催されたワールドツアーで、日本人男子としては18年ぶり('89年の日本オープン以来)となるベスト4入りを果し、北京オリンピック予選に大きな弾みをつけたのだった。今年、会場に飾られた大きな大会フラッグに白鳥のプレー写真が使われていた。

 ビーチバレーは熟練がモノを言う世界。佐伯のようなママさん選手は珍しくない。今回の代表4人はみな30代だ。ベテランとしてのテクニックも意地もある。北京は、まさに旬の時期に挑むオリンピックになる。

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