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<北京五輪世代に続く新星> 宮市亮 「ベンゲルが一目で惚れ込んだ18歳」 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

PROFILE

photograph byTsutomu Takasu

posted2011/03/31 06:01

世界的名将が認めた才能が、いま開花しつつある。
Jリーグを経由せずに欧州に乗り込んだ怪童が、
そのスピードを武器にオランダを席巻しているのだ。
2人の恩師と本人の言葉から超新星誕生の秘密を探る。

 2011年2月6日。オランダの地に降り立ったばかりの18歳の若者が閃光を放った。

 フェイエノールトのユニフォームを身にまとった宮市亮はフィテッセ戦に先発。左サイドを何度も切り裂き、デビュー戦でフル出場を果たしてしまう。続くヘラクレス戦ではプロとしての初ゴールを叩き込み、鮮烈な印象をホームスタジアムのファンに与えたのだ。

 デビュー戦翌日のオランダ全国紙『アルへメーン・ダッハブラット』紙は、「亮はフェイエノールトに再び希望を与えた」と大見出しを立てた。

 フェイエノールトは、オランダの「ビッグ3」の一角を成す強豪クラブだが、今シーズンは一時期降格の危機に瀕するなど、大きな低迷に見舞われていた。

 しかし、宮市が加入してからは4勝2分で負けなしを維持し、降格の危機を脱した。6試合すべてに出場した宮市は、チームの救世主として崇められ、強烈な『リオ(亮)フィーバー』さえ巻き起こっている。

「自分の名前を呼んでもらえるのが本当に嬉しいし、ちょっと認められたのかなとも思う」

オランダ人のハートを掴んだ、スピード溢れる突破力。

 つい2カ月前まで、普通の高校生としてプレーしていた宮市は照れながら語る。

 なぜ宮市はこの短期間でここまでの存在感を示すことが出来たのか。一番の要因は彼のプレーの「分かりやすさ」だ。

高校時代、奈良育英戦での宮市

 オランダという国は、もともと攻撃サッカーを好み、スピードがあって突破が出来るアタッカーは特に人気がある。ロッベンやファンペルシなどは代表格だ。

 宮市の特徴も、爆発的なスプリント力をフルに生かした突破力にある。

 彼は小柄な選手が多い他の日本人ドリブラーと異なり、183cm、70kgの体格を誇る。

 それでいて重心は安定しており、ピッチコンディションにかかわらず、大きなストライドのドリブルも、細かいステップのドリブルも、スピードを保ちながらこなせる。そしてスピードに乗ったまま、強烈なシュート、ループシュート、コントロールシュートとバリエーションに富んだフィニッシュをみせる。時には30m、40mの距離さえ一人でボールを運んでしまうそのプレーで、オランダ人のハートをがっちりと掴んだのだ。

 このようなプレースタイルは、どのようにして確立されたのか。ルーツをたどると両親の身体能力の高さに行き着く。

<次ページへ続く>

【次ページ】 サッカーを始めたきっかけはJリーグブーム。

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