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「モテたいと思ったことは一度もない」高橋藍がバレーボールを楽しめるのは「イタリアに来てから」と語る理由《独占告白》

2024/04/19
イタリアで取材に応じた高橋藍
モンツァに加入し、イタリアで3季目を迎えた今シーズン。新天地でいち早く信頼を勝ち取ると、攻守で主軸の地位を確立し、プレーオフではチームを3季ぶりの準決勝進出へと導いた。クラブ、代表と、自らの立ち位置が変わっても貫く妥協なき姿勢が、今夏の大舞台、そしてさらなる高みへと彼を押し上げている。(原題:[バレーボール短期集中連載(3)イタリア3季目の進化]高橋藍「限界をつくらないことだけは意識してきた」)

 迷いなく、高橋藍がブロックに跳ぶ。

 4月7日、イタリア、トレンティーノ。プレーオフ準決勝の第3戦最終セット。レギュラーラウンド1位の相手に対し、14対13、モンツァのマッチポイントの場面だ。

「前回負けてから、この試合のために集中して準備してきた」という高橋は、ここまで42本のスパイクを放ち、24本を決める活躍を見せていた。マッチポイントも「最後の1点はお前が決めろ」とばかりに、ブラジル代表でモンツァのセッター、フェルナンド・ジルクレリングは前衛レフトの高橋に上げ、この日43本目のスパイクを放つ。レシーブに阻まれ、1本では決まらなかったが、直後にトレンティーノの攻撃に対し、高橋も含めた3人でブロックに跳ぶ。2本打っても決まらず、ブロックに当ててからもう一度チャンスをつくるべく3本目は軟打をブロックに当ててきた。その1本を、狙いすました高橋が叩き落す。

 2本決まらずとも3本目。二度負けていても三度目に勝つ。まさに“三度目の正直”を体現したラストプレーで勝利をつかむと、両チーム最多の25得点を叩き出した高橋は今季4度目のMVPに選出された。

 プレーオフは3戦先勝方式で、モンツァはすでに2敗していた。ようやく1勝を挙げたとはいえ、負ければ決勝進出が絶たれ、3位決定戦に回る。いわば圧倒的不利とも言える状況で、「完璧な試合」と言ってのけるパフォーマンスを見せる。まさに逆境でこそ輝く。自他共に認める“ポジティブモンスター”はプレーオフという大舞台でも健在だった。

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photograph by Takahisa Hirano
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