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8年ぶり侍ジャパン復帰のオリックス・若月健矢「呼ばれないだろうなと思っていた」“山本由伸の女房役”が世界へ…飛躍を支える“捕る力”とWBCへの道
posted2025/11/17 11:00
侍ジャパン韓国戦に出場した若月
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Nanae Suzuki
11月15、16日に行われた侍ジャパンの強化試合・韓国戦で、オリックスの捕手・若月健矢が8年ぶりに日の丸を背負った。
2021~23年にはリーグ3連覇に貢献し、山本由伸(ドジャース)と3年連続で最優秀バッテリー賞を受賞。23年と今年はゴールデン・グラブ賞も獲得した捕手だが、日本代表に関しては、「自分は呼ばれないんだろうなーと思っていました」と言う。
井端監督のラブコールにも「たまたま…」
花咲徳栄高校からドラフト3位で2014年に入団。3年目に85試合、4年目に100試合と出場試合数を増やし、若くして正捕手の座についた。その後は伏見寅威(現・阪神)や森友哉との競争にさらされながらも、存在感はかすむどころか増してきた。それでも、日本代表は2017年のアジアプロ野球チャンピオンシップ以来8年間、選出されなかったことで、自分には縁のないものだと思っていた。
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今年のシーズン中、侍ジャパンの井端弘和監督と何度か話す機会があったが、それでも最初は本気で選択肢に入っているとは思えなかったという。
「僕の中ではノーマークでした(笑)。でも本当に呼んでくださったので、頑張ろうという気持ちになっています。今回は怪我をしているキャッチャーもいますし、そういった縁でたまたまタイミングが回ってきたのかなと思いますが、いろいろな人に話を聞けるのでいい経験になると思いますし、そこでしっかりやれば春(WBC)にも繋がってくるかもしれない。春、出たいですけどね」
謙虚にそう話し、代表合宿に向かった。
「打撃が課題」の堅実捕手が“サヨナラ男”に
打撃力が課題と言われてきたが、日本一に輝いた2022年は、規定打席には達しなかったものの.281の打率を残していた。今年は川島慶三打撃コーチと二人三脚で、原点に戻って築き上げ、打率.272と安定した成績を残し、勝負強さも発揮。3月28日の開幕戦を皮切りに、3度もサヨナラ打を放っている。“サヨナラ男”と呼ばれ、「このイメージが定着してくれたら、試合終盤に代打を送られる回数も減るのかな」と笑っていた。


