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「小遣い30万円全然足りひんわ」中田翔36歳がいま明かす”ビッグマウスのガキ”だった19歳の頃の本音「単純にアホだった…今はダセエなこのガキって思う」
posted2025/11/13 17:20
今季限りで引退を決めた中田翔(36歳)。打点王に3度輝いた野球人生を語りつつ、プロ入団当時のヤンチャな思い出を明かした
text by

鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph by
Yoshiyuki Hata
発売中のNumber1131号に掲載の[引退記念インタビュー]中田翔「ピッチャーだったらなって何度も考えましたよ」より内容を一部抜粋してお届けします。
「ビッグマウスのガキ」から今スタート
中田翔は、人生で一度だけ訪れる特別な季節の中にいた。ユニフォームを脱いだ者はその年の秋、勝負の重圧からも、肉体との戦いからも解放され、ゆったりと流れる時間の中で未来図を描くことができる。何より、後ろを振り返ることが許される。
これまでは常に次の戦いに目を向けなければならなかったが、今だけは“もしも、あのとき……”と、どんな夢想も許される。この束の間の時間に、中田の胸に去来するものとは何だろうか。
「プロ入って一発目に『このビッグマウスのガキは』っていうところから、中田翔という人生がスタートして、実際本当にキャラ作りっていう部分もありましたし、もっと当たり障りなくやっとけば、こんなに炎上しなかっただろうなって思う部分はありますよ。それを後悔してるわけでもないんですけど。もし何か挙げるとしたら、世渡り上手じゃないすけど、そういう感じでやってたら、またどうなってたのかなと」
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茶髪に細眉で睨みを利かせる。その風貌と強気な言動から「大将」と呼ばれ、北海道日本ハムファイターズ時代には「北のジャイアン」の異名も取った男は意外にも、番長然としたキャラクターを背負わなければどんな人生だったか、と考えていた。
「入ったばっかりで二軍にいた時はたぶん単純にアホやったんですよ。『(高級アクセサリーブランドの)クロムハーツが好きなんで、小遣い30万円でも全然足りひんわ』ていう発言とか、あの頃の僕を今の僕が見れば、ダセエなこのガキって思うはずだし、それが世間一般の見方だったと思うんです。グラウンド行くときに『ああ今日、練習ちょっとめんどくせえわ』って言いながら歩いてたら次の日、『中田、練習めんどくせえ』で(新聞の)一面です。そうやって叩かれて、この調子でペラペラ喋っとったらあかんなっていうのが初めて分かったので。そこから猫かぶれば、当たり障りなく生きるのは可能だったと思うんですけど……」
「根がアホなんで、一番楽なスタイルを選ぼうと…」
本音だけで社会を渡っていくのが、いかに危険なことかを、中田は19歳で思い知った。分かれ道があったとすれば、そこだったという。だが彼は、建前づくりにエネルギーを費やすくらいならば、リスク上等で、自分らしく生きる道を選んだ。
