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野球善哉BACK NUMBER
日本シリーズ「とにかく今日決める」ソフトバンク・小久保裕紀監督が短期決戦で積極姿勢を出せたワケは“反省”「去年の負けがあったから」
posted2025/11/08 18:01
日本シリーズ、勝敗を分けたポイントを両チームの監督の視点から読み解く。小久保監督の積極采配には昨年の“反省”があった
text by

氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Hideki Sugiyama
意外とも言える結果に終わった日本シリーズ。昨季の決戦で常に後手に回っていた指揮官は、今年何が変わっていたのか。現地取材で見えた小久保采配の妙とは。〈全2回の2回目/阪神編を読む〉
海の向こうのチャンピオンシップを見ながら、短期決戦における采配の妙がどれだけシリーズの勝敗に影響するのかを“再確認”した。
投手の配置転換、オーダー変更に、中0日登板。先に王手をかけられて相手のホームに戻った時点で不利だと目されたドジャースが、逆転勝利を飾った。采配の上手さを見たチャンピオンシップの戦いだった。
小久保監督が展望していた「セ・リーグ球場での戦い方」
“再確認”と書いたのは、メジャーより3日前に決着した国内のチャンピオンシップもまた、采配の妙が大きくシリーズを分けたからである。絶妙な仕掛けを見せたのが勝者・ソフトバンクの小久保裕紀監督だった。
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2017年のWBCでの敗戦、昨季の日本シリーズでの完敗。「小久保は短期決戦に弱い」といった世間からの批判を覆す、まさに“指揮官”の勝利だった。
ホームでの初っ端2連戦を終えて、1勝1敗で会場を甲子園に移した10月28日。恒例となった、カード頭に開催する試合前取材で、小久保監督は3連戦のポイントをこう展望した。
「セ・リーグ球場での野球は、上位打線で点を取る野球やからね」
DeNAに苦杯をなめさせられた昨年
DH制のないセ・リーグは、投手がラインアップにいることが大きなネックとなるため、なるべく上位打線で得点を挙げられるかどうかがポイントになる。下位打線からのつながりというよりは、仕掛けを早くして取れる時に取っておく、というのが定石の戦い方だ。
思えば、昨年の日本シリーズはその仕掛けの早いDeNAの戦略に後手を踏んだ。

