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巨人・桑田真澄二軍監督「電撃退任のナゼ」圧倒的大差でファーム優勝したのに…阿部慎之助監督との育成方針の違いは? 露呈した「絶対的な練習不足」
posted2025/11/08 17:02
日本シリーズ中の10月28日に電撃的に巨人退団を発表した桑田真澄二軍監督。その背景には何があったのか…
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph by
SANKEI SHIMBUN
巨人が揺れている。
連覇を目指した今季は阪神の独走を許し、シーズン終盤には失速。かろうじてクライマックスシリーズへの出場権は得たものの、ファーストステージでDeNAに連敗して終幕を迎えた。
その結果を受けてシーズン終了直後には、二岡智宏一軍ヘッド兼打撃チーフコーチと駒田徳広三軍監督が退団。さらに大きな衝撃となったのが、日本シリーズ中に発表された桑田真澄二軍監督の退任だった。退任が発表されたのは10月28日。桑田監督は27日まで「みやざきフェニックス・リーグ」で指揮を執っており、まさに電撃的に決まった人事だったことは明らかだ。
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もちろん様々なメディアは黙っていなかった。「理論派」で選手に寄り添った科学的、合理的な練習を取り入れる桑田監督と「昭和のスポ根指導者」の阿部慎之助監督。2人がぶつかった結果の“解任劇”という図式が、おもしろおかしく取り沙汰されるばかりだった。
ただ、桑田二軍監督の退任理由が、そうした短絡的な対立構造ではないのは明らかである。桑田監督の理想とは別に、若手選手、特に高卒の選手の成長がなかなか進んでいない。巨人のファームの現実が根底にあったのだ。
桑田監督退任劇の「なぜ?」
今回の桑田監督の退任劇への批判の1つに、ファームでしっかり実績を残しているのに「なぜ?」というものがある。確かに桑田監督の下で今季、巨人の二軍はイースタン・リーグで2位に8ゲーム差をつけるぶっちぎりの内容で優勝を飾っている。
ただ、二軍監督の絶対的な役割とは勝つことではなく、選手を育て、いかに一軍で戦力になる選手を供給できるかにあるはずだ。だから「圧倒的な強さでファームを優勝させたのに……」という意見はちょっとお門違いだった。二軍が優勝したのはそれだけ若手選手が育っているからという意見もあるが、二軍で活躍できる選手が必ず一軍でも結果を残せるわけではない。むしろそこが選手にとって一番の壁で、その壁を突き破る手助けをするのが、二軍監督の仕事のはずである。
そこに就任直後から桑田監督の指導方法に対する疑問の声があった。

