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[MVPインタビュー]山川穂高「この感覚を忘れたくない」

posted2025/11/06 09:00

 
[MVPインタビュー]山川穂高「この感覚を忘れたくない」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

text by

田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph by

Nanae Suzuki

今季は不振に苦しんだが、日本シリーズでは5試合でシリーズタイ記録の3試合連続本塁打。文句なしの受賞となった主砲が喜びを語る。

――MVPの決め手となった第2戦からシリーズタイ記録の3戦連続本塁打。決戦のあいだは「新しい感覚で打てた。中身は勝つまで内緒です」と話していましたが、その正体とは何だったのでしょう?

「第2戦当日、チーム練習前のアーリーワークで試したことが完ぺきにハマりました。意識したのは『かかと』で立つ。それだけです。でも、構えた段階で『これ、絶対打てる』と思いました。かかとで地面をちゃんと踏む。そこに力を集結させれば、上半身の無駄な力を抜くことができる。ホームランは腕っぷしの強さだけでは打てません。今年の僕は何をやっても上手くいかなかった。レギュラーシーズンでは打率2割2分台、本塁打は23発、得点圏打率も最悪。シーズン中、1000通りくらいの打ち方にトライしたと思います。それが今年初めて、練習の中でも納得できる飛距離を出せたし、本当に無駄なく自分の力が全部ボールに伝わっていると思えたんです」

――発見のきっかけは?

「ヒントは第1戦にありました。その日はスタメンから外れていて、試合中に(佐藤)輝明が打つのを一塁ベンチからじっと観察していたんです。今年の彼は打席の中ですごく綺麗に真っすぐ立っていて、スイングも腰が平行に回っている。自分を重ね合わせて想像すると、僕の場合は軸の右足に体重を乗せた打ち方を最近は試していたのですが、それを繰り返すうちにお尻が捕手方向に突き出てしまい『く』の字みたいに屈曲しすぎた形になっていると思ったんです。輝明のフォームに着想を得て翌日の練習で試して感じが良かった。試合でも『かかと、かかと』と心の中で唱えながら打席に立ったら、第2戦の1打席目が右中間フェンス直撃のタイムリー二塁打。次の打席が左中間へホームラン。これは僕の感覚ですが、ピッチャーの球が遅く見えたくらい。甲子園に行ってもその感覚は消えませんでした」

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