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石井大智の告白「ずっと力の差を感じていた」阪神の絶対的リリーフエースが明かしたソフトバンクとの“決定的な差”「明らかに力負けです」
posted2025/11/01 17:02
日本シリーズ第5戦の8回、柳田悠岐に同点弾を浴びた阪神のリリーフエース・石井大智
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kiichi Matsumoto
最後は2人の“エース”で敗れた。
1勝3敗と土俵際に追い込まれた日本シリーズ第5戦。確かに阪神はゲーム中盤までは主導権を握っていた。
2回2死一、二塁から8番・坂本誠志郎捕手のタイムリー安打で先制。5回には2死一、二塁から佐藤輝明内野手の5試合連続打点となる中前適時打で2点目を奪った。
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先発の左腕・大竹耕太郎も1回から快調に飛ばした。5回2死まで1人の走者も許さない完全ピッチング。15人目の打者だった6番・野村勇内野手の遊撃へのイレギュラー内野安打で初めての出塁を許したが、続く牧原大成内野手を一塁ゴロに打ち取り、危なげなくソフトバンク打線を抑え込んでいった。
勝負の1つのアヤとなったのは、6回の阪神の攻撃だったかもしれない。
1死から7番の高寺望夢内野手がセンター前に弾き返して出塁。ここでベンチの藤川球児監督は8番の坂本に送りバントのサインを出している。送って9番の大竹に代打という決断をしたということだ。結果的には坂本がバントを失敗して、強攻策に転ずることになったが中飛に倒れて2死となる。ここで藤川監督は当初の予定通りに代打に中川勇斗捕手を送り、大竹は降板となった。
大竹の6回までの球数は74球。6回に2安打されるなど、少し疲れが見え始めていた。それでも次の回はその大竹から始まる打順だった。もし、高寺が安打を打っていなかったら、おそらくもう1イニングの続投だったかもしれない。しかし高寺の安打で大竹に打順が周り、藤川監督は7回から継投策に出る決断をしたのだった。
もちろんこの7回からの継投策が間違いだったわけではない。むしろ阪神はシーズン中の勝ちパターンへと入っていった訳でもあった。
絶対のリリーフエースが被弾
7回には左腕・及川雅貴投手、8回からは石井大智投手につなぎ、最後はクローザーの岩崎優投手へとバトンを渡す。場合によっては絶対的な信頼を寄せる石井に8回から回を跨いで、9回まで投げ切らせるという考えも藤川監督の頭にはあったかもしれない。


