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「あ…阪神の田村さんですか?」体ボロボロ37歳で戦力外通告、警察から職務質問も…阪神投手の引退後「学生に混じって猛勉強」“元天才”の再起
posted2025/11/01 11:01
かつて阪神で活躍した田村勤さん(60歳)
text by

岡野誠Makoto Okano
photograph by
NumberWeb
1997年8月17日の広島戦(大阪ドーム)、8回のピンチに登場したものの、打者4人に3安打を浴びて降板。マウンドを降りると、スタンドから容赦ない野次が飛んだ。田村は「うるせえ、この野郎!」と言い返しながら、ダッグアウトへ下がった。
阪神監督と“衝突”していた…
「そしたら、自分の肩辺りに何か物体がいたんです。上を見ながら歩いていたし、ムシャクシャしてたから、『クソ!この野郎!』と突き飛ばしましたよ。でも、裏に戻ると、嫌な予感がした。『なんか当たったよなぁ……。もしかすると、監督だったんじゃないか』って」
公称167センチの吉田義男監督は試合後、報道陣に「田村は熱い男だ」と語ったという。
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「『さっき、すみませんでした』とも言えないし、本当にそうだったかもわからない。でも翌日、記者の人にそう聞いて、確信しましたよ。吉田監督には何も言われませんでした。寛大な方で助かりましたよ」
同年は50試合に投げ、9セーブをマーク。その矢先、またしても左肩に激痛が走る。98年は1年間、登板なし。3度目の長期離脱に絶望しなかったのか。
「そう思う時もありましたよ。でも、よく考えてみればね、プロ野球という夢の世界で投げられた。故障したけど、まだ復帰を目指せる環境にいる。だから、悲観的に捉える必要はないと思っていました」
「松井の打席は視聴率高い」。だから燃えた
野村克也が阪神の監督に就任した99年、田村は3度目の復活を果たす。5月21日の巨人戦(甲子園)で2年ぶりに登板すると、松井をセンターフライに抑えるなど1回を無失点。田村はこの年もゴジラキラーとして名を馳せ、10打数1安打3三振に斬って取った。通算でも20打数2安打の打率.100と手玉に取り、9三振を奪っている。

